It is made selfish.

 休日に生徒会室に用事がある時は、事前に会長に連絡すること。
 それが新しく生徒会役員になった俺達の暗黙の了解になっていた。

 発端は生徒会が新しく結成されてから1カ月経ったくらいのことだった。
 あの日は確か、夏真っ盛りで汗で小さいプールでも出来るんじゃないかと思うくらいに暑い日差しが午後の学校を照らしていた。
 今年、この学園に来たばかりの俺はまだ右も左もわからない状態。それでも成績と周りからの評価が良かったため会長に補佐として選ばれたらしい。
 それはまあいい。他の役員は頼もしいし仕事もやりがいがって楽しい。会長は俺様だけど、丁寧に仕事を教えてくれるし(新しく役員になった人のためにマニュアルも作ってくれてた)、書記は無口無表情だけど、失敗をするとさりげなく助けてくれる。新役員の副会長と会長との関係も良好だ。そんななかで俺的には充実な学生生活を送っていた。
 そんなある日。会長が、前回の生徒会処理が机の中から(会計の机からだった)出てきて休みも返上だと、そう漏らしていたのを聞いた。だから少しは役にたとうと、俺と副会長、会計の三人で休日に呑気に生徒会室に向かった。それが間違いだったんだ。

「あっついよー。俺溶けちゃうー」
「冷たい麦茶入れてやるから頑張れ」
「会計、暑いのなら古知屋くんから離れればいいでしょう」
「んー?なぁに、副会長うらやましー?」
「古知屋くん、その荷物をごみ置き場に置いてきませんか?」
「あー、今日は回収日じゃないからダメ」

 背中にひっついてくる会計をそのままに、窓から差し込む暑い日差しに耐えながら校舎内を歩く。
 生徒会室は特別校舎の四階にある。そこに行くまでにカード認証と声紋認証を行わないといけないが、何故にここまで、と思った俺に答えてくれたのは書記だった。「変な人が出たから」の一言だけだったが。それに対して会長が「人の出入りが少ないから馬鹿が出やすいんだよ」と付け加えてくれたのは半月前のことだが懐かしい。

「おや?」
「どしたの副会長」
「……会計、古知屋くん。とりあえず回れ右をしましょうか?」
「なにかあったのか?」

 先に生徒会室のドアに手を伸ばした副会長が眉を寄せて驚いた声をあげると、小さくため息をついた。何故か小声で戻る様に指示されるが、少しあいたそこからは電気の明かりが漏れている。中は無人ではないはずだ。何かあったのだろうか。

「……何もないです」
「うっそー。何々?気になる」
「ちょ、会計!」

 今まで抱きついていた会計が、副会長の反応に何かを感じたのだろうにやりと笑うと、俺から離れて止める副会長を避けて生徒会室を覗き込んだ。
 そうして「なるほど」と呟くと楽しげに笑って手招きをする。副会長は止めたほうがいい、と首を横に振るけど、先程から好奇心を刺激されていた。特に二人が見た後だと我慢なんかできるはずもない。
 音をたてないようにそろりと会計に近付くと、場所を譲られた。

「……会長と、書記?」

 こっそりとドアの隙間から覗きこむと、中には見慣れてきた会長と書記の二人がいた。

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