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 そんなことはない。勢い良く首を横に振る。会長が強いことは知っている。風紀の委員長と同じくらい強いこと。

「そうじゃなくて……、ただ、ただ僕は……」

 高杉先輩は、僕よりずっとずっと強い。変な人だったけど腕は確かなんだ。

「……わあってるよ。お前が俺の心配をしてる事くらい。ただな、俺はお前を危険に巻き込んだ高杉がむかつくだけだ」
「……」

 黙っているとふぅ、と小さく溜息が聞こえた後わしゃわしゃと頭を強く撫でられた。首を竦めると額に柔らかい感触。
 慌てて見上げると、唇にもその熱が触れてきた。

「ったく、二人でばかり行動してたから変な勘違いもしてたんだぜ?」
「変な勘違い……?」
「ああ。お前等ができてるんじゃねぇかとか」
「ち、違います!」
「わかってる。お前が俺を大好きな事くらいな」

 からかうような言葉に耳まで赤くなる。本当のことだけれども、本人に言われるとなんとも気恥ずかしい。

「ま、そんだけ俺はお前の事が好きだし。彼氏としては、大切な奴を危険な目にあわせてる誰かさんを殴り飛ばしたいって思うのは普通だろ」
「……会長」
「んな困った顔すんじゃねぇよ」

 苦笑を浮かべた会長は、そのまま唇に優しく口付けてくれた。

「これからは、俺に一回連絡しろ」
「?」
「お前が知らない場所で他の奴と会ってるのはむかつくからな。絶対に呼べ。いいな?」
「……はいっ」

 ぎゅう!と力いっぱい抱きついて、胸にぐりぐりと顔を押し付ける。
 高杉先輩に教えてもらったことを話そう。言いづらいこともたくさんあるけど、それでも知ってもらいたい事がたくさんあるから。今までちゃんと言えなかった事もふくめて、全部。

「……会長、ありがとうございます」

 今は、一言に大好きと感謝を込めて。


end

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