+γ

Caseγ:顧問と一緒!

 生徒会室に向かって歩いていると、正面からキラキラゴテゴテした格好の奴が歩いてきた。生徒会の顧問で、会計曰くホスト担任の古谷。
 時々、窓の外をなにかを探すように覗きながらこっちに向かってくる。ふいに、顔を上げた古谷が俺に気がついたのか片手をあげた。

「よぉ、橘」
「ホストか。何の用だ」
「誰がホストだ。……こっちに、もさっとした頭の奴来なかったか?」
「ああ、そいつなら向こうの廊下にいたぞ」

 自分が来た方向を指で示すと、古谷は途端に顔を青ざめさせた。声には出ていなかったが「ヤバイ」と唇の動きで言ったのがわかり、首を傾げる。
 何がヤバいのか、と思案していると古谷が怯えた様子で、周りを確認してから俺に合わせるように少し屈んだ。何か言いたいことがあるのかと、耳を寄せれば普段と考えられない小さな声音で囁いてきた。

「……そいつに、会ったのか?」
「?ああ。会った。生徒会室に向かう廊下だからな」
「……だよな」

 転校生に用があるなら早めに行った方がいいんじゃないか?動かない古谷に、すぐ横にある茶色い髪に触れてみる。ぱしぱしと叩くとはっと気がついたように一歩離れた。

「……今から生徒会室だよな?」
「まぁな」
「長谷川と日比谷がいる」
「そうか」
「今日は帰れ」
「何でだ?」

 何でもだ、と青い顔のまま追い払うように手を振られる。ここまで来たのに仕事をやらずに帰れと言うのか。

「……。お前がアイツと会ったなんて知られたら、俺がヤバイんだ」
「はぁ?」
「あのな、最近生徒会役員が過保護だろ?」
「まぁ、確かにそうだな」
「お前が会った奴のせいなんだよ」
「……マジか」
「マジだ」

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