はじめて会った瞬間から決めて(ry

 僕等は僕等しかいなかった。二人は一人で一人で二人。僕はそーちゃんで、でもこーちゃんでもある。そう言うと必ず何を言ってるのかがわからないと首を傾げられた。両親は何となくはわかっていて、でも、きちんとは僕等を理解していない。
 でも周りに理解されていなくても、僕等は一緒にいられればそれで良かった。僕は僕で、でも彼でもある。それで完結していた世界に、伯父さんが紹介してきたアイツが入ろうとしてきた。

『オマエ等は違う人間だろう?どうしてそこまで似せようとするんだ』

 そう言われた時、凄く凄く腹がたった。だから一番苦手だって言っていたタコまみれの刑にしてやった。アイツはすぐに逃げた。
 次に伯父さんが連れてきた人も、イタズラしてやろうと思った。またコイツも余計な事しか言わない奴だと思って。でもその人は色々と範囲外だった。


* * * * *



「ホスト親、もう帰っていい?」
「皐月君、せめて自己紹介くらいはして欲しいな」
「柏原皐月」

 面倒そうに呟いて、彼はそのまま背を向けた。伯父さんは困ったような顔をしてそれを引きとめたけど、振り返りもせずに手を振って理事長室から出て行く。
 僕等は顔を見合わせてその後ろ姿を追うように部屋から出た。

「待って待って」
「どこ行くの?」
「帰るの。部屋に」
「僕等に何か言うことないの?」

 スタスタと歩く姿に追いついて、僕等は左右の腕を取って抱きつく。特に抵抗はなかったからそのまま引っ付いて歩く。少し身長に差があったから屈むことになったけど気にしない。

「言うこと?」
「そうそう、理事長との関係は?とかー」
「僕等の見た目とかー」
「見た目……髪の色が眩しい」
「ま、眩しい?」

 理事長との関係は知っていたのか、それとも興味が無かったのか本当に見た目のことを言われた。しかも眩しいってどういうこと。
 二人でぽかんと見ていると、彼は早めだった歩調を少しだけ緩めて僕達が引っ付いていた手で頭を撫でてきた。目を瞬いて、少し下にある顔を見つめる。

「僕のまわりにはこういう具合に髪を染めた奴っていなかったから。しかも金髪って対太陽の光で反射するでしょ?眩しい」

 端的だった言葉遣いが普通になって、さっきまで視線さえも寄越さなかったのに、真っ直ぐな黒い目が僕等を捕らえた。
 また顔を見合わせてからお互いに髪を見てみる。確かに窓から入ってくる光で反射して見える。少しだけ目を細めると頭に触れていた手が離れていった。

「で、君達はどこまで行くの」
「「ついてきただけ」」
「そう。じゃあ戻りな。僕は寮に戻って寝るから」
「仕事は?」
「サボるの?」

 確か前の人はいつも忙しい忙しいって言っていた。でも特別何かがあった分けではなく、僕等はそれを見てるだけだった。だから仕事って言っても何かわからないけど、何かしらやることがあるんじゃないのかな?

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