「俺が教えてあげよっか」

「思うんですが」
「うん?」
「先生から誘われた事、ないですよね」
「……は?」

 先生の膝に向かい合わせになって座ってイチャイチャしてる時、ふいに思いついた。
 そういえば、ヤる時はいつも俺から誘ってる。先生からヤりたいとか言われた事がない。

「先生……俺としたいと思う時ありますか?」
「な、っ?!いきなり、え、あ、っしたいとか!」
「何が言いたいかわからないです」

 で、どうなんですか。
 目で問い掛けながら、視線をそらせないように先生の頬に手を添えた。そうすると顔を真っ赤にさせて、困ったように「う、ぁ」とか「そういうのは……」とか小さな声で切れ切れに口にする。

「……ね、先生?」
「いや、でも……や、結城の事はすきだが…」
「せんせー?」
「可愛いし、したいとも思うけどでも…」

 僕の声は聞こえていないらしい。顔を赤くさせたままぶつぶつと嬉しい事を呟いている。
 なんだか、こう、きゅんくる。可愛い。それと同時にからかいたい、いじめたいっていう厄介な思いも浮かんできて。

「……しようがないですね」
「あ、あきらめて……」
「手とり足とり、僕が教えてあげます」
「……え?」

 ほっとした表情から一転、訳が分からないというようにぽかんとした少し間抜けな顔。頬を突っつきたくなるのを堪えて、シャツのボタンに手をかける。
 そうするとやっとわたわたとし始めるけど、あまり暴れると膝の上に座ってる僕が落ちると回らない頭で把握したのか派手には動かない。

「大丈夫ですよ、先生。いつも僕がされてる事をしてあげるだけですから。楽にしててください」
「いつもって、まさ、か!ちょ、結城!」
「だってそうしたら、したくなるでしょ?おねだり」
「何か違う!さっきと趣旨がずれてるぞ!」

 マウントポジションっていいよね。体格が違くても押さえ込みやすい。
 ちなみに先生の言葉には、あえて答えずにスルー。

「頑張って覚えましょうね?」
「す、ストップ!待て!って、ソコは……っ!」

「諦めて、僕にヤられちゃってください」


END

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