アサオキタラ

 ちゅんちゅん、なんて小鳥の鳴き声なんかで目を覚ますとかなわけじゃなく。なーぜーにどあっぷなんすかおにーさん。
 息苦しさに無を開ければ、ホント目の前に御門さんが。びっくりだ。びっくりしすぎて思わず息を止めちまったぜちくしょー。
 しかもなんか抱き枕状態なんですが。男なんかを抱き枕にしても安眠は得られないぞ?
 腰にしっかりと回った腕をたたくけど、外れる気配はなく。何をどーしてこうなったんだっけ?


『一緒に……』


 昨日の御門さんの言葉を思い出して……ホントに、今更ながらに思った。御門さんと俺の関係を言葉で表すなら、何なのか。
 アパートの管理人と住人。仲の良い兄弟分。

「……なんだろ?」

 御門さんの寝顔を見ながらぼんやりと考えけど、起きたばかりだからか、よく頭が回らない。
 ため息をついて目の前の御門さんを観察する。表情は穏やかで、普段のよりちょっと幼い感じ。手を伸ばして御門さんの髪に触れる。さらさらと指どおりが良くて、触っていて気持ちいい。

「……つーか今何時だ」

 ひとしきり撫でてから夜に枕元に置いた携帯を手にとる。目覚ましなってないし、まだ早いか?なんて思ってたけど。

「11時、3?」

 見間違いか?そうだよな、うん。だって俺、アラームやったし。七時に鳴るように。気を取り直して携帯をもう一回見るけど。示していた時間は間違いではなかった。

「うっそー」

11時32分。
初の遅刻、だった。


end

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