オミヤゲ

「ただいま、千里くん」

 がちゃり。ドアが開いて御門さんが帰ってきた。両手にはスーパーの袋。

「おかえりなさい」

 とりあえず袋を受け取ろうと御門さんに手を差出す。すると何を思ったのか、差し出した手のひらに小さな包みを置かれた。

「?」
「お土産、だよ」

 お留守番できたご褒美、と笑った御門さん。そうか、子供扱いか。しかも小学生くらいの。

「御門さん、俺、17なんだけど?」
「うん、知ってるよ?」

 きょとんとしながら首を傾げた彼に、ああ、悪気はないんだと気付く。多分、ホントに好意で買ってきてくれたんだろう。
 うん、ありがたく貰っておこう。

「あり、がとうございます」
「うん」

 手に乗った包みを見て礼を言えば開けてみて、と促され細身の赤いリボンをはずす。久しぶりだなー、お土産貰うの。小学校の時ぶり?

「……あ、れ?」

 開けた袋の中には、色々な色をした金平糖。

「甘いの、好きだって言ってただろ?」

 どう?と首を傾げた御門さん。ニコニコと、どこか楽しそうに答えを待つ御門さんは、母の日にカーネーションを母親に渡した子供みたいだ。星型をした金平糖を何粒か掴んで食べる。ふんわりとした甘さが口の中に広がった。

「おいしい」

 食べながら呟けば、御門さんが頭をさらりと撫でてくれた。
 毎日、少しずつ食べよう、かな。
台所へ向かう御門さんの背を見送りながら、金平糖の包みをそっとポケットにしまった。


end

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