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Case3:会計と一緒!
休憩がてら生徒会室から出てみた。
当然のようについて来ようとした牧原と長谷川を撒いて裏庭へと出ると、見覚えのある顔が木の根元に大の字で寝転がっていた。しかも爆睡。
そうかコイツは仕事をさぼってこんなトコで寝てたか、よし殴って起こしてやろう。
心の中で呟いてから拳を握り、振りかざそうとした瞬間。
「あんれー?かいちょーさまじゃん。何しとーと?」
きょとんとたれ目を丸くさせて対象が目を覚ましていた。ちくしょう。
「チッ」
「目覚めに聞いた第一声が舌打ち!ひでー」
へらへらと笑う日比谷に無性に怒りが湧くが、とりあえず拳を下ろした。また寝てる時に殴って起こしてやろう。
「俺は息抜きの散歩だ。お前はこんなとこで何してんだ」
「お昼寝ー。見てわかんべなぁ。ほら、かいちょーもすわってみなよぉ」
くぁ、と欠伸をすると日比谷はぺしぺしと隣をたたいた。少し考えてから叩かれた場所に座る。
日差しが葉に遮られて良い感じに暖かい。確かにこれは眠くなるだろうな。
「それとサボりは違うだろ」
「んー……サボり?ああ、俺ぇ?」
緩く笑う日比谷に先程の怒りは萎んでいき、諦めだけがついた。
「お前も、だな。後は補佐達だが……そういえば、双子はどこに行った」
「二人ならぁ、頑張って門番になってるよー」
「はぁ?」
門番って何だ。それが顔に出ていたらしく会計がにぃと口の端をあげて笑う。
「そ、大事な大事なものを守るための門番。さしずめ長谷川がナイトで、牧原は忠臣ってとこかなぁ」
「……はぁ」
ますます意味がわからない。そうしたら俺や日比谷は何なんだ。クエスチョンマークが頭の上に浮かぶが、考えてもわからない。
「ちなみに俺は……そうだなぁ、剣?」
「剣……?」
「そ。俺はね、外敵を真っ二つにする剣だよぉ」
真剣な表情の日比谷には悪いが、突っ込みどころがわからない。サボりはするが、頭はまともだと思っていたのに。まさかの残念さ。
「はは、わかってない顔ぉ」
「さっきからお前が言ってることは、さっぱり意味がわからないからな」
仕方ないね、と笑った日比谷が俺の膝に頭を乗せてきたのはその数秒後。叩いても押しても退かせずに、牧原が探しに来るまでそのままだった。
Case4:補佐達と一緒!
久しぶりに双子を見かけたのは、放課後、生徒会室前だった。
「「かいちょーだ!」」
俺を見つけると、二人はぱぁと顔を輝かせて左右から腰に抱きついてきた。頭を撫でてやるとぐりぐりと頭をすり付けてくる。
「お前等、今まで何してたんだ?」
「危険人物の排除!」
「今日はお休みだから来たんだよ!」
「……危険人物?」
誰の話をしてるんだ?首を傾げていると、双子がきゃっきゃと楽しそうに口を開く。
「そだよ!かいちょーはダメだよ」
「かいちょーはね、危険人物に会ったらダメなんだよ」
「おいおい、二人して意味がわからねーぞ」
さすがに困って、由希と由衣の頭を撫でつつ二人の顔を覗く。そうすると双子は互いに顔を見合せて、ゆっくりと俺を見上げた。
「「かいけーと約束したの!」」
「日比谷と?」
「「うん!」」
秘密なんだよ!と声を合わせていう二人に首を傾げるしかなかった。