裏の争い

「真白の下駄箱にー、この手紙入れたのってアンタらー?」

 目の前で訳が分からない、と顔を青ざめさせて取り乱している奴等ににっこり笑ってやる。右手には真白のカバンから抜き取った手紙。ソコには完結に『放課後裏庭に来て下さい』とだけ書かれていた。
 朝、真白が下駄箱から取出したのを偶然見かけた。最初は告白か何かと思ったけど、綴と口論をしている最中、ずっと感じていた敵意。ソレは全部俺らじゃなく真白に向けられていた。
 だからさり気なく手紙を抜き取ってみたけど、よかった。これで真白は傷付かずに済む。

「紫、様……」
「ふふー、裏庭に来いなんて……真白になぁにするつもりだったのかなー?愛の告白?違うよねー。だって君達、綴の親衛隊じゃん?まぁ聞きたくもないけどさ。一応言い分だけ聞いてあげる」

 だって、聞かないと後でこの事が真白にばれた時に怒られちゃうし。

「ぼ、ボク達はただ、綴様の為と思って……あの方の『飼い主』に平凡な奴なんて合いません!もっと……もっと似合う方がいます!」

 笑いながら言った為か時間が経った為か、ようやく落ち着いてきたらしい無駄に顔が可愛い奴が震えながら睨んできた。
 ……似合う、ねぇ。どっちかっていうと、真白の『狗』が綴だっていう事が納得いかねーし。

「ね、それだけ?終わり?終わりでいいかな?そろそろ俺も我慢の限界って言うか綴はどうでもいい。けどねー……」

 真白の事をぐだぐだ言うのは気に食わない、んだよね。睨んできていた奴が、びくりと体を震わせ最初よりも血の気が引いた顔で俺を見てきた。
 その表情は不愉快以外、何も思わない。ただ、ああ怯えているな、とそれだけ。

「……神様にお祈りでもしたら?」

 ――そんなもの、いないだろうけどな。


(本当は俺だけのモノにしたかった)(先を越されたけどいつか絶対に奪ってやる)


 裏の争い

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