平凡腐男子の日常

「ちーちゃん」
「んー?」

 さっきまで雑誌を見ていた春穂が俺の名前を呼ぶ。
 俺はソファーに。春穂はソファーに寄りかかるように床に座っている為、自然見下ろす形になる。

「なに?春穂」
「んー、あのね。おもしろい事知っちゃった」
「おもしろい事?」

 雑誌から顔をあげた春穂の顔には、なんともいえない笑顔が浮かんでいた。
 なんだろ?春穂がおもしろいっていう事は、当たりが多いから期待ができる。

「あんねー、副会長、いるでしょ?」
「ああ、王道腹黒副会長!」
「あれ、もしかしたら全然違うかもしんないよ」
「……どゆこと?」

 さっぱり意味不明だ。
 集会やときたま見かける様子は、王道副会長そのものだけど……、でも春穂が言うのならそうなのかもしれない。春穂の情報に嘘はないし、間違った事もない。
 だから、残念だけど副会長は王道じゃないのだろう。

「あーあ……完璧に王道生徒会だと思ってたのに」
「ごめんねー?」
「いいよ。他にも色々萌はあるし!」

 それに、見た目だけでも妄想は十分にできるし。関わる事なんてないから、性格とかは改変し放題だ。

「なぁ、ちなみに副会長はホントはどんなタイプなんだ?」
「んー、そうだねぇ。にゃんこをたくさん飼ってる……変な人?」
「……?よくわかんない」

 猫を飼ってる、って言うのはきっと猫かぶりの事。変な人って、どういうことだろ。

「ちーちゃんとはきっと、話が合うと思うよー」
「ん?」

 春穂の言葉の意味を知ったのは、しばらく後の事。


END

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