学級委員長の本当

 同じ日常を繰り返し繰り返し繰り返し。学校行事以外の特別なイベントなどあるわけも無く、ただずっと機械的に繰り返すだけの日。
 つまらない。そう感じているのは僕だけじゃないだろう。けど、きっと安寧の日々を手放し難いのだと思う。
 一度浸ってしまえば抜け出すのは容易ではない。とまぁ、語ってみたけれど。簡単に言えば暇なわけで。授業をサボって屋上に来てみても何かあるはずもなく、フェンスを背にしてぼんやりと流れていく雲を目で追った。
 このサボりという行動も何度目かわからない。数えてみた事もなかったから。


「こんにちは、紀伊国くん」


 それは、この学園の中で『生徒会長副会長』として有名な折笠 頼が屋上に来て、僕に話し掛けるというなんとも言えないイベント。
 その日に僕は彼に会っていなければ、きっとあのままつまらない生活を繰り返していた。だから折笠には感謝をしよう。


「なぁ!お前、委員長なんだろ?名前は?俺は坂本 瑞樹って言うんだ!」
「……僕は紀伊国 満。よろしくね」
「満か。よろしくな!」


 退屈が消えてなくなるなら、他人の手のひらで転がされるのもいい。折笠が望む『委員長』と言う役、きちんと演じてやろう。


「やぁ、瑞樹くん。昨日ぶりだね。そっちの彼は『はじめまして』?」
「えぇ、『はじめまして』。副会長」


 こうして副会長による、王道がなけりゃ作ればいいんじゃん!俺天才。とかいう計画は開始された。


「副会長、猫を何匹飼ってるんですか?」
「んー、君よりは少ないと思うよ」
「嘘吐き」
「……だって猫被りは腹黒副会長の基本だもの」
「……ああそう」
「その間は何かなっ!?」


END

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