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「なつるくん」
「うん、おいでぇ」

 両手を広げる彼に近づいてそのまま抱きつく。くすくす笑う奈鶴くんは、どこかいらいらした様子。機嫌が悪い理由は、ここに来るまでに三嶋くんに聞いていた。要約すると、もじゃ頭の転校生がべたべたと引っ付きまわりかつ無駄に騒がしくするためぷっつんするギリギリだったらしい。
 それでもお昼になれば離れられるからと頑張った奈鶴くんは今、絶賛甘えたモード発動中。

「みぃ、俺、めちゃくちゃ頑張ったんだよ?」
「うん。三嶋くんに聞いたよ。えらいえらい」

 膝枕をしながら、ぽんぽんと奈鶴くんの頭を撫でる。ふにゃふにゃと笑う彼は、どこか疲れた影がある。生徒会の仕事が積み重なっているのに、そんなのに取り憑かれていたら、余計に疲労が圧し掛かってきてしまう。
 何とか、できないかな……。

「ねぇ、奈鶴くん」
「んー?」

 猫のように、ゆったりと膝に頬を擦り付ける彼にほんわかとしながら金色の髪に指を絡めると、うれしそうに笑ってくれる。

「俺に出来ることはある?何でも言って?」
「何でもぉ?」
「うん」

 頷くとうんうん唸りながら「何でもって言われたらやっぱあれ?否、でもいきなりはだめかぁ。いやいや、俺的にめちゃくちゃおいしい状況だよねぇ?据え膳?」えとせとら。聞いてて結構恥ずかしくなる。奈鶴くん、俺が聞いてるの忘れてるのかな。
 顔が熱くなってきたんだけど、どうしようか。そういう意味で言ったわけじゃなかったんだけどな。いやでも奈鶴くんが望むなら、それでも良いかなとか思わなくもないけれど。

「ん、決めたぁ!」
「え、あ、何!?」
「えへ、今日からしばらく俺の部屋にお泊りしてー?んで、ご飯作ってほしいなぁ」

 ね?なんて可愛くおねだり。『何でもする』なんて約束がなくても、叶えたくなるのは仕方ない。
 頷いて了承すると、奈鶴くんがとても嬉しそうに笑ってくれた。

「俺、これからも頑張るからぁ。みぃ、ご褒美くれる?」
「ご褒美?うん、俺ができる事なら何でもしてあげるよ」
「ふふ、ありがとー」

 それからのんびりとし過ぎて、気付けば授業が始まってしまっていた。けど、奈鶴くんが幸せそうだったから、いいかな、とか。「惚気るなら他でやってください」って、三嶋くんに怒られてしまいそうだ。

「みぃ、どうかしたぁ?」
「奈鶴くんが大好きだなぁって」
「ん、俺もみぃが大好きだよぉ」


end

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