change

 俊也と付き合うようになってから半月。たった数週間と言えど、なかなかに密度のある半月だった。
 最初はびくびくと伺うように距離をあけていたが、日が経つにつれて自然な表情を見せてくれるようになった。
 今でも時折逃げ出しそうな雰囲気を醸し出す時があるが、それは……まぁ、いわゆるそういう感じになった時だ。

「総長、何にやにやしてんのー?きもーい!」
「……ん」
「うるせぇ」

 屋上でいつものように寝転がっていれば、にやけ面をあらわに雪と雅がきた。ちなみに俊也は授業中。チビたちもそれぞれ学校だから、コイツらも暇なんだろう。

「んでー、……総長?聞いてる?つーか、聞け」
「人の惚気は聞かない主義だ」
「ちょー、優也の可愛さ半端ないんだよ?説明のしようがないく「ショタコン黙れ」ショタコンじゃないしー!」

 ああうるせぇ。
 雅は我関せずで携帯弄ってやがるし。あの緩んだ表情からして相手はチビ一号か。

「ン、……総長、佳也、今日早めに終わる……」
「……好きなようにしろ」

 段々とコイツらは変わっていく。少しずつ少しずつ。俺も、変わっていく。アイツに会ってから。
 コレがいい事なのかはわからねぇ。けど、この変化は心地好い。

「ふふー。なぁんか、俺ら青春してる?恋しちゃってる?みたいな☆」
「間違いではねぇけど……オマエが言うと」
「気持ち悪い」
「ちょ、二人してなんなわけっ?!」

 笑いあう、なんて事はいつもの事だったが、以前より穏やかな雰囲気。交わされる言葉も前とは違い、話題は俊也たちの事ばかり。
 前までは自分たちの事や、喧嘩の話、その場その場で思いついた事を話していた。独り言に近い会話もあった気がする。今じゃどんな内容の話をしていたか、あまり思い出せない。
 ああ、会いたい。顔が見たい声を聞かせろ。
 キスがしたい。抱き締めたいつーか抱かせろ。
 沸き上がる感情に、熱く熱く何かがくわわる。愛しいと思う感情と、欲望に負けそうな理性。せめぎあう二つに、どちらを勝たせればいいのかわからない。

「雪、雅」
「んー?何?」
「……?」

 体を起こして二人を呼ぶのと、終業のチャイムが鳴ったのはほぼ同時。

「いくぞ」

 頭ん中の決着はつかなかったが、どちらにしろ俊也には会いにいく。
 抱き締めるのもキスをするのも、ナニをするのかはそん時に俊也に決めさせる。

「俊也……」

 ――今じゃオマエが隣にいない、なんて事は考えつかない。


end

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