▼ go to school
朝、は登校。
学校行くのは面倒だけど、行かないと雪菜に怒られる。自分も面倒なのに何で来ないって。雪菜は最近真面目に学校行ってる。
総長の……恋人?がお気に入りみたい。
――俊也、くん。呼び捨てにすると総長睨んでくる。雪菜が言うには「バカな嫉妬だよー。総長が嫉妬!やっべ、ツボ入ったー、あっはは☆」らしい。
俺には良くわからないけど、【しっと】は楽しいことみたい。
「……アレ?」
冷蔵庫を開けたら、何もなかった。……水はある。
あ、そっか。一昨日雪菜が来た時に全部食べちゃったんだ。
「……だるい」
買い物。……仕方ない。買いにいかないと昼の分もない。夜は外食だから平気だけど、昼ないのはムリ。
うん、コンビニ行こう。学校はとりあえず昼までに着けばいいや。
制服に着替えて部屋から出る。俺が出ると何も無い部屋。いつもの事。別に何も思わない。ドアを閉めれば勝手に足は通い慣れたコンビニへ向く。
何にしよう。カレー、メロン……ランチパック?
「……サラダは嫌」
「サラダ食べないと身体、持ちませんよ?」
「……?」
ぼんやりと歩いてれば後ろから独り言への返事が。
「……あ、」
「おはよう、ございます」
隣から顔を出した俊也くん。あれ?
「……総長」
「灯鷺さんだったら、何か用事があるとかで午後から来るそうですよ」
いつも一緒に登校している総長の姿がないから首を傾げたら、それだけでわかってくれた俊也くんが笑いながら教えてくれた。最近、俊也くんはやっと緊張と恐怖が抜けてきたらしく、総長や俺達に笑顔を見せてくれるようになった。
猫に懐かれたみたいで、何か可愛い。雪菜が言うには、愛着が出てきたっていうらしい。
「えっと、み……みぃちゃんは今から登校ですか?」
「ん。コンビニも」
「あ、昼ご飯買いに?」
頷くと「学校の近くにあるコンビニは、品揃えが良くていいですよね。俺も時々……」って話しだした。
雪菜や総長の話し以外、聞こうとは思わないけど俊也くんの声は聞きやすくてもう少しだけ聞きたい、って思う。
「中でも一番美味しいのは、あのコンビニ限定の『手作りチョココロネ』だと思うんだよな。普通のやつだと尻尾のトコまでチョコが入ってないんだけど、あそこのはちゃんと入ってて……値段も手ごろだから買いやすいし」
「じゃあ、それにする」
朝ご飯決定。昼もそれにしよう。コレだけ力説してるんだし、きっと美味しいに違いない。
「是非!……っ、あ!すみません話し過ぎました!うるさかったですよね?!」
急に顔を青くさせて慌てだす俊也くん。……雪菜はウサギって言うけど、どちらかと言えば小型犬に見える。チワワとかじゃなくて……耳がおっきい……パピヨン?
「ん、大丈夫……」
首を横に振れば嬉しそうに笑う。いいな、この表情。俺まで嬉しくなる。
「!、っわら……!!」
わら?藁?
こんなトコに藁があるのかな?あれ、でも俺の顔見てるから……俺が藁?
「……人」
「いえ、みぃちゃんが藁ってわけでなくて…はじめて笑ったとこ見て驚きました!」
「………?」
笑った?……俺が?そっか。藁じゃなくて笑ったか。
「みぃちゃんの笑顔、思ってたより可愛かったです!」
「……」
俊也くんのほうが可愛い、って思ったのは総長には内緒にしよう。
end