▼ おまけ
部屋に戻ってから睦月をソファーに座らせた。そのまま、逃がさないように膝の上に座る。
照れたように僕を見る睦月は、普通に可愛いと思う。でも今日はそれにほだされてはいけない。
「睦月、僕に言うことあるでしょう?」
「あ、う……」
困ったように視線をうろうろさせ、しまいには唸りながら俯いてしまった。こういう時は、睦月が口を開くまで待つ。
睦月は無口というわけではないけれど、話す速度がスローテンポだ。何を口にするにもまず一呼吸置いてから。困りはしないし、幼い感じで可愛いと思っていたから何も言わなかったけど、今回はそれが仇になった。
睦月が言葉にする前に勝手に状況を決め付けて誤解し、あまつさえ暴力まで振るわれてしまった。
「……さつき、俺は大丈夫だから」
「大丈夫に見えない。睦月痩せたでしょ。顔も……ああ、今は赤いかな」
「……!」
ぶわ!と耳まで一気に赤くなった。可愛い。僕の弟……義弟は真っ更で初だ。からかうだけで赤くなる。
さっきの馬鹿共や、顔も知らぬ転校生に見習わせたい。
「皐月……」
「何?」
真っ赤になりながら、「ごめんなさい」と「キスしたい」。本当可愛いな。
触れ合わせるだけの口付けをしながら、触れられなかった分を埋めるべく何をしてやろうかに思考を持っていった。
(さっちーってむっちゃんの前だと性格違うよねー)(弟命的な?とりあえずコイツ等縛るべー)
end