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 『裏生徒会』。生徒会や風紀が機能しなくなった時や、手に負えなくなった時などに動く組織だ。
 生徒会や風紀が持たないほど強い権限を持つ僕たちは、先代から継がれる。ちなみに、僕が継いだのは一昨年。この学園に中学で転入した時だった。
 当時でさえあまり出席していなかった僕の存在は希薄なものだった。だから余計に合っていたらしい。
 まぁ、そんなわけで今も続けてるわけですが。

「蒼、風紀の説明」
「はぁい!えーと、まずは風紀委員長さまさまぁ!ええと、転校生といるってだけでむっちゃんに危害を与えたのは、今日までで16回。ほぼ顔を合わす度に風紀だろ!って突っ込みたくなるくらいの暴力を与えてるみたいっすよぉ」

 風紀は機能してない。委員長自らが理不尽な危害を与えている。

「な、証拠があんのか!?」
「あるよん。写真に映像に、音声!それから証人もねー」

 苦し紛れな委員長が怒鳴るけど、気にした風もなくUSBを取り出した。中には言葉に出して言えないモノばかりが詰まっている。
 ちなみに、それは生徒会のほうも同じだ。

「次俺いくよ!生徒会ね。風紀委員長とほぼ同じ!ただ一部の人がむっちゃんに害を与えるよう親衛隊を焚き付けてるねぇ。コレもダメっしょー!」
「君達に何の権限があって、」
「「もう、うるさいなぁ黙ってろよ腹黒副会長」」
「……っ、」

 綺麗なユニゾンをありがとう。双子の煩わしそうな表情に、副会長が悔しそうに引き下がる。口では勝てない事に気付いたのだろう。
 さて。面倒な自己紹介を色々と省いたけど、どうしようかな。

「……まぁいいか。睦月、行くよ」
「……っ!」

 そわそわと、けど心配そうに僕を見つめていた睦月に手を差し出す。睦月は上下に首を振り手を重ねてきた。
 久しぶりに感じた手の温もりに、いらいらと揺れていた感情が静まってくる。

「蒼、紅。後はわかってるよね?」
「うん、さっちーはむっちゃんとラブラブしにいくからぁ」
「後始末は任しといてー。さぁはりきって行こー!」
「……手加減はしなよ」
「「はぁい!」」

 いいお返事で。その場が先程以上の喧騒に包まれるのは、もういいや。どうせココにはもう用は無いし。
 双子に後は任せて、僕は睦月の手を引いて食堂から出た。

「睦月、しばらくは部屋から出してあげないからね」
「……っ!」


end

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