blue sky

 授業中の屋上。だだっ広いそこには俺以外は見えない。それに心底安堵しながらフェンスに寄りかかる。
 高い屋上から見えるのは昨日までとは何も変わらない景色。眼下には授業中の生徒達が校庭いっぱいを使っていた。
 通常なら自分もその中に混じっているはずだったけど、どうしても今日は参加する気にはなれずにサボってしまった。

「なぁにやってんだかなぁ……」

 自分のバカさに笑いたくなる。実際には笑うどころではないくらいに落ち込んでいるけども。深々と息をついてポケットからイヤホンを取りだす。大音量にして、聞こえてくる声を遮断するように両耳を塞ぎその場に座り込んだ。

 ――知っていた。あの子が自分のことを恋愛感情で『好き』ではないことを。知っていた。アイツがあの子を恋愛感情で『好き』なことを。そしてあの子もアイツが『好き』なことも。
 それでも諦めきれず、けれどこの1年間ずっと想いを秘め続けてきた。2人のことが違う意味だとしても好きだったから。できれば俺の知らないうちにどちらかが告白して付き合い始めてくれればいいと。幸せになってくれればと。そう、思っていた。
 思っていたはずなのに、いざそれを知らされると思っていた以上にショックで。何とか2人を誤魔化してはみたけれど、その誤魔化しが通じていたのかいないのか。どこか居心地が悪そうにしていたアイツの視線がむかついた。
 堂々としていればいいのに、と八つ当たりをしたくなる。きっとアイツは気付いていたから。俺があの子を好きなこと。
 それでもあの子と一緒にいることを決めたのなら、そんな視線を向けないで欲しくなかった。憐れんで欲しくなかった。

「……あー、ちくしょー」

 自分ながらに情けなくて仕方がない。
 イヤホンから流れてくる、あの子がスキだと言っていた曲に余計に目頭が熱くなる。
 膝を抱えるように抱き込んで、背を丸めた。誰もいないけれど、ココには俺しかいないけれど、それでも今の自分の顔を隠したかったから。

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