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「「……まぁ、なんでもいっか」」
「は?」

 実際、生徒会や風紀がどう思うかなんて関係ないし。自分たちは与えられた役割をこなして、報告をするだけ。

「とっとと生徒会室にいこー」
「あそこなら防音処置がされてるしねぇ」

 楽しみ?楽しみ!
 くすりと二人で笑いながらお馬鹿さんたちを連れて、生徒会室へと向かう。

 彼らは未だに余裕を失っていない。自分たちがまだ何をされるかを理解していない、助かると信じているからあの転校生を心配できるくらいには理があるんだろう。
 これから行われるのは、むっちゃんへの暴行を可とした奴らへの制裁。触れてはいけないことに気付かず、自らの欲に目がくらんだことへの罰。

「先代の裏だったらよかったのにね」
「あの人たちは甘かったからね」
「「そのせいでいなくなってしまったのだけど」」

 この言葉にお馬鹿さん一行は首を傾げたけど、その意味を理解したのは自分たちが彼らと同じ目にあってから。


* * * * *


「ふふー。こうしてむっちゃんの仇討ちは完了しましたとさぁ!」
「あまり歯応えなかったけど……、それなりには楽しかったかなぁ」
「へぇ、……ご苦労様、二人とも」

 ふかふかソファーに座った双子からの事後報告。
 睦月がいれてくれた紅茶を飲みながら、ほのぼのとした雰囲気で語られる生徒会と風紀のその後。

「……ね、皐月。うら?生徒会の先代って……」
「んー?うん。あまり楽しい話じゃあないんだけど、簡単に言えば双子が先代を学園から追い出したんだよねぇ」

 きょとりと不思議そうにする睦月に、苦笑してソファーに深く座りなおす。
 双子は元裏生徒会の先輩方を葬った過去がある。理事長に聞いた話じゃあ、それはもう悲惨な状態だったらしい。

「例えば、代表を椅子に縛り付けてプールにいれて彼の苦手なタコの映像を大画面で流しつつ、そのプール内にタコをそれはもう大量に放った挙げ句に精神的にも肉体的にも瀕死の状態だった彼の口にタコの刺身を突っ込んだらしいよ」
「……た、タコを」
「ふふ、アレは楽しかった!」
「あの時の顔と言ったら笑えたねぇ」
「つまり、二人は相手の弱点をつくのがとてつもなく上手いんだ」

 けたけたと楽しげに笑う双子に、ため息が出る。この二人は今のところは言うことを聞いてくれているけれど、何せ気紛れで敵にも味方にもなるから厄介だ。

「だぁいじょーぶ!」
「さっちーとむっちゃんは気に入ってるから」
「「絶対に、傷付けたりなんかしないよー」」

 きゃいきゃいと楽しげにする二人に、少し引き気味な睦月の頭を撫でつつこれは後処理が長引きそうだと諦めをつけた。


end

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