彼らは滑稽を笑う

 さっちー達が出て行った食堂は騒然として、収集がつかなくなった。他の生徒とか基本どうでもよいから命令されたことを終わらせようかと思う。
 あんまり時間かかると、今度は理事長がうるさいだろうし。

「ね、こーちゃん」
「ん、わかってる」

 にこりと笑いあって、ちょっとした確認。ポケットから伸縮性のあるロープを出して二人でわける。生徒会プラスアルファはそれが何をするためのものか理解してないのか、不思議そうに見てるけど危機感ないね、この人達。唯一、会長だけが諦めた表情してる。

「きっとおバカさんの集まりなんだよー」
「そっかー」

 こーちゃんの答えに納得する。だから逃げようともしないのか。というよりは見くびられてるのかな?

「ちょっとムカって感じ?」
「んー、そんな感じ?」

 お互い笑いながら、とりあえず近くにいた奴の手を縛る。抵抗なんかなんのその。この人たち、強くないし。一部逃げようとした奴らは、喜劇の観客だった生徒達が捕まえてくれた。嫌われちゃったんだね、かわいそうに。

 そんな訳で、諦めの見えている会長以外を縛って、生徒会室まで連行する。他の役員が会長に何か言ってるけど、会長は自業自得だからと諫めていた。
 ホントだよね。せめてむっくんに手を出さなければ、さっちーも出てこなかったかもしれないのに。おバカさんだなぁ。

「あ、そーちゃん」
「ん、なぁに?」
「転校生はどーする?」
「んー。こいつ等の処分が終わったら考えよー」
「わかったー」

 転校生、と言う言葉に後ろを歩いているはずのおバカさん達が反応したけど、そんなこと知らない。
 だって、元々の原因はあの転校生だもの。放置なんかしたらさっちーが怖い。

「あ、あの子に怪我をさせたら許しませんからねっ!」
「……許さないって」
「どう許さないんだろうねー?」
「さぁー」

 勇気を出したのか、先ほどから会長に怒りをぶつけていた副会長が睨み付けてきた。この副会長は、さっき縛る時もわたわたと抵抗してきてすこぉしだけイラっときたんだよね。
 相手との差もわからないのか、それともそれくらい転校生に盲目なのか。

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