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聞き間違えだな。両手以上の数が聞こえたような気がするんだけれど。
「あまね、言っただろ?お前は結構人気があるって」
「いやいやいや。ないわ」
「……普通寄りだが、見た目的には平凡より上だろ。背丈もある程度はあるし、人当たりもいいしな」
「僕達なんかにも優しくしてくれましたし」
「ちゃんと言葉を聞いてくれました」
ごめん、三人とも。ついていけなくて、俺の頭がオーバーヒートしそうだよ。くらくらするぜ。
まぁ、そんな些細な事はいいや。いや、些細な事じゃないけど俺の思考がね、そんなん嘘!って叫んでてさ。だからとりあえず気にしない事にして。
「弥生。俺はどうしたらいいわけ?」
「……親衛隊の存在を認める場合も認めない場合も、親衛隊隊長のその子にどうするかを言えばいい。基本的には親衛隊なんていうものは、認めようがなんだろうが設立したら勝手に活動するものだ」
「ふぅん。俺の意志は関係ないってことか」
へぇ、てっきり親衛隊って慕う対象の可否でできるのかと思ってた。
「……もし、五十嵐様が認めて下さらない場合は親衛隊を解散させます」
「五十嵐様を困らせたいわけではないので、……ご意志に従います」
どうしよ、このちまい子たち。可愛い。撫でていいかな?いいよな。だって俺の親衛隊らしいし。
両手をわきわきさせるとまた頭を叩かれた。微妙に痛いんだぜ。
「で?」
「んー、いいんじゃね?二人とも可愛いしー」
可愛いのも綺麗なのも好きだ。むさ苦しい男子校での目の保養だし、もとからそういうもの好きだし。ふわんふわんな人形とか。
「五十嵐様、ありがとうございますっ」
「早速他のみんなにも伝えてきますね!」
ふにゃり、と本当に嬉しそうに笑った二人は、ぱたぱたと足音をたてて教室から出ていった。その後ろ姿に手を振って見送る。
「いいよな、ああいう真っ直ぐなの」
「色々とお前は変だからな」
「否定はしない」
でも十分弥生だって変だと思う。怒られるから言わないけど。
end