まさかの親衛隊

 目の前には蜂蜜色のちまい子。となりには茶色の子。
 どっかで見たことあるね。うん、倉末会長の親衛隊さん達だね。
 何故にそんなきらきらした可愛い目で見るのかな?

「えーと……?」
「だからですね、僕が隊長の白宮で」
「副隊長の黒地です」

 にっこりふわふわきらきら。そんな効果音が聞こえてきそうなくらいなんだけど、どうにも状況が飲み込めない。

「あー、ちょっと待って。君たちが親衛隊の隊長と副隊長だっていうのはわかった。……誰の?」
「もちろん」
「五十嵐様のです」

 そんな馬鹿な。
 ぽかんとしていると、肩を軽く叩かれた。

「何をそんなに驚いてるんだ?」

 淡い白檀の香りに、誰が横にいるか判断するとそのままがしりと腰に抱きつく。ちまっ子たちが「きゃあ!」とか叫んだけど知らない。

「ちょ、聞け弥生。この子らが俺の親衛隊がかくかくしかじか!」
「……何をいまさら」

 古典的な表現で訴えると、意味が通じたのか軽く頭を撫でられる感触と飽きれたような声音。いやいや、いまさらってどういう意味だし。
 頭を上げると思わず優しい表情をした妃がいた。少し感動しつつ、抱きついたまま意味がわからないと首を傾げる。

「知らなかったのか。お前、影で人気なんだぞ?」
「……はぁ?」

 いや、知らなかったですよ。言っちゃなんだが、平凡の領域を出ない俺だよ?そんな人気があるなんて……、ねぇ?

「そうか。ココの学校の奴等はエムだったのか」
「阿呆。何でもそこに結び付けるな」
「言葉のあやだ」
「……嘘だな」

 彼ら曰く俺の親衛隊の子たちが目を丸くするのが視界の端に映る。可愛いな。
 でも、確か二人は会長の親衛隊のはずだ。あの時確認したもん。もんとかきもいな。ごめん。

「俺に人気があると仮定してもさぁ。そんなにいねーだろ?よくて片手?」
「仮定も何も人気がある。特にその二人みたいな生徒にな」
「わー、可愛い子はウェルカム」

 隊長と副隊長に両手を広げながら言うと、頭を撫でていた手がぺしっと叩いてきた。軽くだから痛くないけど。

「……あまね」
「えー?だって可愛い子二人なら大歓迎じゃん」

 だってやっぱり可愛い子が自分を慕ってくれるとかどんなイベント。早々ない事だということは理解してるし。
 喜んで手を広げようじゃないか。

「……片手だけじゃないだろ」
「はい!現在の隊員は二十名。候補者は三十名います」
「厳選に厳選を重ねて、五十嵐様のご迷惑にならないようにしてるので!」
「……ん?」

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