人狼ゲーム


今夜で全てが終わる。ずっと信じたくて、ずっと目を瞑って逃げていた真実に 向き合わなくてはならない。

あいつ以外のシロはもう、俺自身が身をもって証明したことで、
もう残るはあいつだけ。俺は狩人だから絶対にお前を護る、そう言って笑顔を向けたあいつ。

嬉しかった。あいつに護られていた事実が。信じて疑わなかった。
でも、突きつけられた真実はあまりにも残酷で



ーーーーさんは、【人狼】です。



たった一文で全ての希望が閉ざされる。


どこかで分かっていた。ああやっぱりか。そんな気持ちと、否定したい気持ちがぐちゃぐちゃに混ざり合って きもちがわるい。

狩人はもういない。今日あいつは、俺を噛みにくるだろう。
諦めているはずなのに、「お前を護るから」。そう笑ったあの顔が離れなくて。


もしかしたら、俺を噛まずに居てくれるかもしれない。俺を残しておいてくれるかもしれない。


次々と出てくる生への執着。
それが途切れるのはあまりにも刹那の出来事で。



ガタン、
耳を貫く扉の開く音。無意識に肩が跳ね上がる。


振り返るといつもの笑顔を浮かべるあいつ。でもその目は赤くひかっていて。

「、おい、その目」


震えた声で尋ねても、目の前のそいつはなにも答えない。


「食べにきちゃった、」


一瞬笑みが消えたかと思えば今度はニタァ、といやらしい笑みがその顔を支配する。


抵抗する暇も与えられずに床に押し倒され、喉のあたりに振り下ろされる尖った爪。


「…っ、なんで」


変わり果てたその姿に思わず出た一言。それは声にすらなっていなくて、きっと届いてもいなかった。

はずなのに。

最期に、目の前が真っ赤に染まるその一時前に見せた表情。

それはいつもの、穏やかで優しくて、護る。そう言ってくれた、大好きだったあいつそのままで。

苦しそうに皺を寄せて、「ごめんな」 そんな幻聴すらも聞こえるような表情。

その時俺の頬を伝ったのは、首から出た血なのか、それとも涙なのかは分からないけれど。


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