寮に帰ってみると、そこには酒を飲みながらつまみを食べてテレビを見ていたシュラがいた。
まあ、別によく勝手に入ってこうしているからたいして驚く光景でもないけど。
むしろこんなふうに帰ってきてシュラがいてくれたらひどく安心する。
「シュラー…」
「ほえ?どうした」
シュラの太ももに頭を乗せてそのまま腰に腕を回しギュッと抱き着くと、シュラは優しく頭を撫でてくれた。
それが気持ち良くて目を細める。
「今日はやけに甘えてくるにゃー」
「………」
「…なにかあったのか?」
いつもより優しくそう聞いてくるシュラはとても卑怯だとおもう。
私がその声に弱いの知ってるくせに。
「…メフィスト、嫌い」
「アイツになんかされたのか?」
「ちがう」
「ま、アイツはアタシも嫌いだ」
さらに強くぎゅーっと抱き着く。
もうこの温もりを感じるだけでかなり満たされるし嬉しい。
だけど、今はなんだかからっぽ。
メフィストと会ってきて疲れたのもあるけど、やっぱり一番は絆されていくような感覚がまだ気持ち悪くて仕方がない。
「……なんで…、みんな私を拒絶しないんだろう」
「名前…」
「誰も私を罵らないし誰も私を邪魔だと言わないし誰も私を殴ろうとしない」
「名前」
「なんで?どうして?私は邪魔じゃないの?なんであんな風に優しく接してくるの?私は汚いのに、みんなと違って」
「名前!」
シュラの大声にハッとして体をびくりと震わせ、自分は何を言っているんだろうと思った。
シュラは目で落ち着けと私に語り掛けてきて、私は深く呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
「お前は不安なんだな」
「…うん」
「アタシもそうだったぞ」
「シュラも?」
シュラの話によれば、私が居なくなってしばらくしてから藤本獅郎に会って、シュラは最初はその藤本獅郎を受け入れられなかったけど、どんなに反抗してもどんなに酷い暴言を吐いてもシュラを拒絶せずに接してくる藤本獅郎をだんだんと受け入れていったらしい。
「今思えば、アタシもきっと名前以外がアタシの世界に入って来るのが怖かったんだろうな」
シュラはいつものふざけた感じじゃなくて、どこか遠くを見たような真面目な表情だった。
本を通して藤本獅郎と関わりがあるのはわかっていたけど、記憶が戻ってからはやっぱり藤本獅郎とシュラの関係を思うと黒くてドロドロしている感情が溢れ出て来る。
「シュラは…藤本獅郎に会ってから……い、一日でも、私のことを忘れたことがあった…?」
震える私の声。
きっと私は嫉妬しているんだと思う。
そしてもしかしたら藤本獅郎にシュラが取られるかもしれないのが怖いんだと思う。
私の唯一の理解者で、私が唯一気を許した人で、だいすきな人。
「バーカ」
「、」
「名前のことは一日も忘れたことがないぞ。ずっとお前に会いたいって思い続けてたからな」
体中がふわりと暖かくなりじわじわと目に涙が溜まっていく。
きっと嘘でもいいからそう言って欲しかったんだよ。
まあ、シュラが嘘をつくような人ではないと知っているから余計に嬉しくなる。
「けどな、いつまでもアタシ一人だけに引っ付いてる訳にはいかねーよ」
「…うん」
「いきなりとは言わない。少しずつでいい。あいつらに自分から歩み寄ってみろ。きっと応えてくれるさ。
お前には、幸せになって欲しいんだよ」
卑怯でやさしい人
(あなたも幸せになって)
―――――
決して百合じゃないですよ
仲の良すぎる家族のような関係です
まあ、別によく勝手に入ってこうしているからたいして驚く光景でもないけど。
むしろこんなふうに帰ってきてシュラがいてくれたらひどく安心する。
「シュラー…」
「ほえ?どうした」
シュラの太ももに頭を乗せてそのまま腰に腕を回しギュッと抱き着くと、シュラは優しく頭を撫でてくれた。
それが気持ち良くて目を細める。
「今日はやけに甘えてくるにゃー」
「………」
「…なにかあったのか?」
いつもより優しくそう聞いてくるシュラはとても卑怯だとおもう。
私がその声に弱いの知ってるくせに。
「…メフィスト、嫌い」
「アイツになんかされたのか?」
「ちがう」
「ま、アイツはアタシも嫌いだ」
さらに強くぎゅーっと抱き着く。
もうこの温もりを感じるだけでかなり満たされるし嬉しい。
だけど、今はなんだかからっぽ。
メフィストと会ってきて疲れたのもあるけど、やっぱり一番は絆されていくような感覚がまだ気持ち悪くて仕方がない。
「……なんで…、みんな私を拒絶しないんだろう」
「名前…」
「誰も私を罵らないし誰も私を邪魔だと言わないし誰も私を殴ろうとしない」
「名前」
「なんで?どうして?私は邪魔じゃないの?なんであんな風に優しく接してくるの?私は汚いのに、みんなと違って」
「名前!」
シュラの大声にハッとして体をびくりと震わせ、自分は何を言っているんだろうと思った。
シュラは目で落ち着けと私に語り掛けてきて、私は深く呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
「お前は不安なんだな」
「…うん」
「アタシもそうだったぞ」
「シュラも?」
シュラの話によれば、私が居なくなってしばらくしてから藤本獅郎に会って、シュラは最初はその藤本獅郎を受け入れられなかったけど、どんなに反抗してもどんなに酷い暴言を吐いてもシュラを拒絶せずに接してくる藤本獅郎をだんだんと受け入れていったらしい。
「今思えば、アタシもきっと名前以外がアタシの世界に入って来るのが怖かったんだろうな」
シュラはいつものふざけた感じじゃなくて、どこか遠くを見たような真面目な表情だった。
本を通して藤本獅郎と関わりがあるのはわかっていたけど、記憶が戻ってからはやっぱり藤本獅郎とシュラの関係を思うと黒くてドロドロしている感情が溢れ出て来る。
「シュラは…藤本獅郎に会ってから……い、一日でも、私のことを忘れたことがあった…?」
震える私の声。
きっと私は嫉妬しているんだと思う。
そしてもしかしたら藤本獅郎にシュラが取られるかもしれないのが怖いんだと思う。
私の唯一の理解者で、私が唯一気を許した人で、だいすきな人。
「バーカ」
「、」
「名前のことは一日も忘れたことがないぞ。ずっとお前に会いたいって思い続けてたからな」
体中がふわりと暖かくなりじわじわと目に涙が溜まっていく。
きっと嘘でもいいからそう言って欲しかったんだよ。
まあ、シュラが嘘をつくような人ではないと知っているから余計に嬉しくなる。
「けどな、いつまでもアタシ一人だけに引っ付いてる訳にはいかねーよ」
「…うん」
「いきなりとは言わない。少しずつでいい。あいつらに自分から歩み寄ってみろ。きっと応えてくれるさ。
お前には、幸せになって欲しいんだよ」
卑怯でやさしい人
(あなたも幸せになって)
―――――
決して百合じゃないですよ
仲の良すぎる家族のような関係です