明日晴れるかな | ナノ


(奥村燐視点)

なんだか眠れなくて、ぶらぶらと寮内を散歩(?)していたら、奥のほうから声が聞こえてきた。
誰か起きてんのか?と思いつつ声のするほうへ歩いていけばそこには電話を耳に当てている苗字の姿があった。
どうやら誰かと電話をしているらしい。

ちなみに苗字っつーのは、なぜか引き寄せられるような甘い匂いがする。
最初は香水かな、と思ったけど、作られたような香りではないと思うし、苗字もそれを否定していた。
そんで、その甘い匂いのせいかもしれねぇけど、苗字を見ていたらなんだか心臓がすげぇドキドキする。
もしかして病気なのか?、と思っていたら、苗字の声が途切れ途切れに耳に入ってきて、電話聞くのも悪いなと踵を返したら、


「会いたいよ…シュラ」
「――え」


じゃあね、ばいばい。
偶然はっきりと聞こえた言葉に動揺しちまって、ベタに横にあるごみ箱を蹴ってしまった。
もちろん苗字には気付かれてしまい、俺は苦笑いをしながら苗字に近付いていった。


「悪ィな…電話、聞くつもりなんてなかったんだけどよ…その、たまたま散歩してたら偶然聞いちまって」
「電話、聞いてたの?」
「あ、つっても最後のほうがちょっとだけ聞こえたくらいだぜ」
「そっか」


なら良かった、と笑う苗字を見てると、やっぱり心臓がドキドキした。
そういや、シュラって誰なんだろ。
名前からして…男、だよな。
それに会いたいって…。
まさか、彼氏なのか…?
そうだよな、高1だし彼氏がいたって別におかしくないよな。
そう思うと、今度はなんだか胸が苦しくなって、痛くなってきた。
喉の奥が熱くなる。


「じゃっ、じゃあ俺部屋に戻るな!」
「あ、うん、おやすみ」
「おう!」


なんだかここに居たくなくて、俺はそれだけ言うと足早に自室へ戻った。
部屋に戻ると、雪男が今日やったテストを採点していた。


「兄さんおかえり。随分と早かったね」
「あぁ…なぁ、雪男」
「なに?」
「お前って、医工騎士の称号も持ってるんだよな?」
「知ってたんだ。うん、持ってるよ」


医工騎士の称号を持ってる雪男なら、この病気の正体がわかるかもしれねぇと、そう思って、俺は雪男に相談することにしてみた。


「俺、病気かもしれねぇんだ」
「は?」
「苗字見てると、心臓がドキドキしたり痛くなったりするんだ」


なんの病気かわかるか…?、と訪ねるけど、雪男はなぜか固まってて、何も喋らなくなっていた。
もしかして…そんなひどい病気なのか!?


「えっ、ええええええ!?」
「な、なんだよ!これ、そんな悪い病気なのか!?」
「いや…、兄さん、それって」





こ…、恋、だと思います
(今度は俺が叫ぶ番だった)







――――――
燐がなんか乙女((
 


 

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