合宿先は幽霊ホテルみたいでした。
ああ、もう、なんでこういう時に限って本当にシュラいないんだろう。
「お、苗字早いなー!」
「あ…、もしかして迷惑だった?」
「そんなことありませんよ」
「なら良かった。…二人はここに住んでいるの?」
「?、おう、住んでるぜ!」
「なら…あの、ここ、幽霊…とか、出ないよね…?」
「「……」」
「……なんですか」
「なんか、意外ですね。幽霊が怖いなんて」
「えっ、や、こ、怖くはないですよ!」
「あ…後ろに」
「へっ!?」
「嘘」
ニヤリと笑った奥村燐に、初めて本気の殺意を覚えた。殴りたい。
と、いうか、久しぶりにシュラ以外の前で作った表情が崩れたかもしれない。
…そりゃあ苦手ってか、嫌いなものなんだから、仕方ないよね。
なんて心の中で言い訳らしきことをしていると、いつの間にか他の塾生がぞろぞろと集まって来ていた。
そして、また鞄を持たせている神木さんとまた持たされている杜山さんが視界に入る。
さっきまで笑っていた奥村燐も、なんともいえない表情をしていた。
「…はい、終了。プリントを裏にして回して下さい」
その言葉に体の力を抜いた。
ああ、さすがに疲れたかもしれない。
ぐぐっと背筋を伸ばしていると視線を感じ横を見てみたら、志摩がこちらをじっと見ていた。
「あの…なにか?」
「いやぁ、背筋伸ばしたら腹チラせんかなと思いまして」
にへら、と締まりのない顔でそう言う志摩に本日二度目の殺意を覚えた。
この疲れてるときに、また腹の立つ顔しやがって。
殴ってやろうと思ったが、それを偶然聞いていた勝呂が志摩の頭を殴り私に一言謝ってから引きずっていったので良しとしよう。
「朴、お風呂入りにいこっ」
「うん…」
「お風呂!私も!」
…風呂、か。
……他の人と入るの、嫌だな。
でも一人で入るのも…いや別に怖いとかじゃないからね。
あれ、私誰に弁解してるんだろ。
もうわけわかんなくなってきた。
「女子風呂かぁ、ええなぁ。こら覗いとかなあかんのやないんですかね。合宿ってそういうお楽しみ付きもんでしょ」
「志摩!お前仮にも坊主やろ!」
「また志摩さんの悪いクセや」
「そんなん言うて二人とも興味ある癖に〜」
「…一応、ここに教師がいるのをお忘れなく」
奥村雪男の空気を読んだような読んでないような言葉に、一瞬の沈黙が訪れる。
…が、志摩は雪男の肩にポンと手を置いた。
「教師いうたって、アンタ結局高1やろ?」
「僕は無謀な冒険はしない主義なんで」
思春期丸出しの会話をするのも、別に構わないけれど。
「ここに女子がいるのも、お忘れなく」
また再び沈黙が訪れた。
けれど、また懲りずに志摩が締まりのない顔で近付いてきた。
…あ、別にダジャレを狙った訳じゃないから、たまたまだから。
「なぁ、名前ちゃん。一人で風呂入るん怖ないん?なんなら俺が一緒に入ったるで!」
「志摩ァ!!!」
「あは、は、は…」
また勝呂に殴られている志摩を見て、もはや渇いた笑いしか出てこなかった。
ちなみに奥村雪男は呆れたように私たちを見ていた。
「ん?」
「?、どうしたんですか?」
「なんか…叫び声みたいの聞こえませんでした?」
「そうですか?」
僕はよくわからなかった、というところで、下のほうから今度はハッキリとガラスの割れる音が聞こえてきた。
さすがにそれに気付いた奥村雪男は机に置いてあった銃を一丁持ち、勢い良く部屋を飛び出していった。
残された私たちも、とりあえず奥村雪男を追い掛けることにした。
走って行き、ついた先は風呂場だった。
一瞬見えたあの黒い影は、確かに屍だったような気がする。
もう窓から飛び出していないけれど、なぜ屍がこんなところに。
そして屍の魔障を受けたのか腕と頬にアロエを貼ったまま床に横になっている朴さんと、その傍らに座る杜山さん。
…そういえば神木さんの姿が見えない。
キョロキョロと辺りを軽く見回していると奥から上半身裸の奥村燐が出てきた。
…ああ、なんとなくわかってしまったかもしれない。
でも、そんなことより尻尾、危ないんじゃない?と思ったけどそこは奥村が上手くフォローしていた。
泣くのって、怖いよね
(その怖さはよく知っている)
――――――
今回、キャラとの絡みをなんとか多くしてみました
もっと絡ませればいいな
それと、なんか主人公のキャラが最初のほうと違う気がしてきた、と思う方もいると思いますでしょうが、一応記憶を取り戻したあの日から多少性格が変わった設定になっています
質問が寄せられたのでこちらで補足させていただきました
わかりにくくてすみません
ああ、もう、なんでこういう時に限って本当にシュラいないんだろう。
「お、苗字早いなー!」
「あ…、もしかして迷惑だった?」
「そんなことありませんよ」
「なら良かった。…二人はここに住んでいるの?」
「?、おう、住んでるぜ!」
「なら…あの、ここ、幽霊…とか、出ないよね…?」
「「……」」
「……なんですか」
「なんか、意外ですね。幽霊が怖いなんて」
「えっ、や、こ、怖くはないですよ!」
「あ…後ろに」
「へっ!?」
「嘘」
ニヤリと笑った奥村燐に、初めて本気の殺意を覚えた。殴りたい。
と、いうか、久しぶりにシュラ以外の前で作った表情が崩れたかもしれない。
…そりゃあ苦手ってか、嫌いなものなんだから、仕方ないよね。
なんて心の中で言い訳らしきことをしていると、いつの間にか他の塾生がぞろぞろと集まって来ていた。
そして、また鞄を持たせている神木さんとまた持たされている杜山さんが視界に入る。
さっきまで笑っていた奥村燐も、なんともいえない表情をしていた。
「…はい、終了。プリントを裏にして回して下さい」
その言葉に体の力を抜いた。
ああ、さすがに疲れたかもしれない。
ぐぐっと背筋を伸ばしていると視線を感じ横を見てみたら、志摩がこちらをじっと見ていた。
「あの…なにか?」
「いやぁ、背筋伸ばしたら腹チラせんかなと思いまして」
にへら、と締まりのない顔でそう言う志摩に本日二度目の殺意を覚えた。
この疲れてるときに、また腹の立つ顔しやがって。
殴ってやろうと思ったが、それを偶然聞いていた勝呂が志摩の頭を殴り私に一言謝ってから引きずっていったので良しとしよう。
「朴、お風呂入りにいこっ」
「うん…」
「お風呂!私も!」
…風呂、か。
……他の人と入るの、嫌だな。
でも一人で入るのも…いや別に怖いとかじゃないからね。
あれ、私誰に弁解してるんだろ。
もうわけわかんなくなってきた。
「女子風呂かぁ、ええなぁ。こら覗いとかなあかんのやないんですかね。合宿ってそういうお楽しみ付きもんでしょ」
「志摩!お前仮にも坊主やろ!」
「また志摩さんの悪いクセや」
「そんなん言うて二人とも興味ある癖に〜」
「…一応、ここに教師がいるのをお忘れなく」
奥村雪男の空気を読んだような読んでないような言葉に、一瞬の沈黙が訪れる。
…が、志摩は雪男の肩にポンと手を置いた。
「教師いうたって、アンタ結局高1やろ?」
「僕は無謀な冒険はしない主義なんで」
思春期丸出しの会話をするのも、別に構わないけれど。
「ここに女子がいるのも、お忘れなく」
また再び沈黙が訪れた。
けれど、また懲りずに志摩が締まりのない顔で近付いてきた。
…あ、別にダジャレを狙った訳じゃないから、たまたまだから。
「なぁ、名前ちゃん。一人で風呂入るん怖ないん?なんなら俺が一緒に入ったるで!」
「志摩ァ!!!」
「あは、は、は…」
また勝呂に殴られている志摩を見て、もはや渇いた笑いしか出てこなかった。
ちなみに奥村雪男は呆れたように私たちを見ていた。
「ん?」
「?、どうしたんですか?」
「なんか…叫び声みたいの聞こえませんでした?」
「そうですか?」
僕はよくわからなかった、というところで、下のほうから今度はハッキリとガラスの割れる音が聞こえてきた。
さすがにそれに気付いた奥村雪男は机に置いてあった銃を一丁持ち、勢い良く部屋を飛び出していった。
残された私たちも、とりあえず奥村雪男を追い掛けることにした。
走って行き、ついた先は風呂場だった。
一瞬見えたあの黒い影は、確かに屍だったような気がする。
もう窓から飛び出していないけれど、なぜ屍がこんなところに。
そして屍の魔障を受けたのか腕と頬にアロエを貼ったまま床に横になっている朴さんと、その傍らに座る杜山さん。
…そういえば神木さんの姿が見えない。
キョロキョロと辺りを軽く見回していると奥から上半身裸の奥村燐が出てきた。
…ああ、なんとなくわかってしまったかもしれない。
でも、そんなことより尻尾、危ないんじゃない?と思ったけどそこは奥村が上手くフォローしていた。
泣くのって、怖いよね
(その怖さはよく知っている)
――――――
今回、キャラとの絡みをなんとか多くしてみました
もっと絡ませればいいな
それと、なんか主人公のキャラが最初のほうと違う気がしてきた、と思う方もいると思いますでしょうが、一応記憶を取り戻したあの日から多少性格が変わった設定になっています
質問が寄せられたのでこちらで補足させていただきました
わかりにくくてすみません