明日晴れるかな | ナノ


「夏休みまでそろそろ一ヶ月半切りましたが、夏休み前には今年度の候補生認定試験があります」
「(候補生認定試験、ねぇ…)」
「候補生に上がるとより専門的な実戦訓練が待っているため、試験はそう容易くありません。…そこで来週から一週間、試験のための強化合宿を行います」


また、面倒臭いことを。
正直合宿は乗り気じゃない。
横に座るシュラの紙を覗き込むと、シュラは参加しないに丸をしていた。
そうか…、シュラは別に参加する必要もないもんね…あー、なんかシュラが参加しないってわかったらもっと参加する気なくなってきた。
…でも、参加しなくちゃ、だよね。
溜め息をつき、参加するを丸で囲んだ。


「名前、お前称号は何にするんだ?」
「ん?あぁ、騎士と医工騎士だよ」
「騎士はわかるとして…医工騎士も取るのか」
「まぁね」
「ふぅん…」


それだけ聞くと、シュラはまたゲームに視線を戻した。
はあ…シュラがいない、合宿か…。
どうせまた面倒臭いことが起こるんだろうなあ。














今はネイガウス先生担当の魔法円・印章術の授業で、今から先生が使い魔を出したところだ。
ちなみに出てきたのは屍番犬で、かなり臭くて見た目がグロテスク。
夢に出てきそうだ…。


「悪魔を召喚し、使い魔にすることができる人間は非常に少ない。悪魔を飼い馴らす強靭な精神力もそうだが、天性の才能が不可欠だからだ」


天性の才能、ねえ…。
先ほど配られた魔法円の略図が書かれた紙を眺める。
ま、天性の才能なんてないような気がするけれど、やってみるか。
針を指に刺し、一滴紙に垂らす。
思い付く言葉…


「………………」


思い付かない。以上。
ってわけにもいかないよなあ。
じゃ、まあ、ここは普通に。


「おいでー」


小さい声でそう呟いてみたけれど、やっぱりセンスなし。
くそ、なんかおいでと言ってしまった私がすごく恥ずかしい。
もうやだ五秒前くらいに戻して欲しい。
ブツブツとそう言ってたら、神木さんが二匹の白狐を召喚していた。
…なんか余計に私が恥ずかしいといいか、虚しいというか…。


「おいでおいでー…なんちゃって…」


そして杜山さんは私と同じことを言って緑男の幼生を召喚していた。
…ああ、もう、更に恥ずかしい。
私と同じことを言ってるのに…
なんだか恥ずかしさがイライラに代わって、とにかく魔法円の略図が書かれた紙をビリビリに破いといた。
シュラが八つ当たりとか言ってたけど気にしない気にしない。


「ねぇ神木さん…わ、わわ私も使い魔出せたよ!」
「!!、…へぇー、スッゴーイ。ビックリするくらい小ッさくてマメップみたいでカワイー!」


…勝呂と奥村燐の次は、杜山さんと神木さんですか…。
また…見てるだけなのになんか面倒臭い…それも女同士だから尚更大変だろうねえ。

そして帰り道、鞄を持たされているのに何故か嬉しそうに笑っている杜山さんと、どこかイライラしたようにしている神木さんと、困ったように二人を見ている朴さんを見て、やっぱり女のほうが面倒臭いな、と思ってしまった。






「シュラー」
「んー?」
「女って、怖いね」
「にゃっははは!お前も充分怖い女だと思うけどにゃ!」
「……なぜだろう、否定できない」




溜め息の数だけ
(面倒臭いことがある)





――――――
キャラとの絡みが少な過ぎる件

 


 

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