「んー…」
起きたら、またまた知らない天井が広がっていた。
ぼやける目を擦りながら起き上がると、奥の部屋からいつものパーカーではなく露出度がかなり高い服装のシュラが出てきた。
どうやらここはシュラの部屋らしい。
「お、起きたのか」
「…うん」
「なんか食べるか?」
「ううん、いらないや」
ごそごそと布団から抜け出して、シュラの元へ移動する。
シュラと会えたのは本当に、この上ないほどに嬉しいし、あまりいい過去ではないけどシュラとの思い出も取り戻した。
だけどまだいくつか疑問は残っている。
「ねぇ、シュラ。あの私を引きずり込んだ魔法円はなんだったの?」
「ああ、あれはな、禁忌の魔法円の一つで、"夢"っつー魔法円だ」
「夢?」
「そ、夢。あの魔法円は人を夢の中に閉じ込めるんだとよ。けど、閉じ込められたヤツはそれを夢だとわからずに生活していくらしい。お前だって、この魔法円に閉じ込められている間、夢だと気付かずに現実だと思い込んで過ごしていただろ?」
と、いうことは、記憶のなかった六年間を引いた九年間の人生は、全部夢だというのか。
あれだけ苦しい九年間を送ったのに。
…夢、なのか。
「でも…私、ちゃんと成長してるよ?」
「あー、成長はするんだよ。ただし、こっちの世界より成長が遅い。アタシとお前は確かに歳の差はあったが、ここまでじゃなかっただろう?」
「なるほど、ね…。じゃあ、私に刺したあの刀は何だったの?」
あの不思議な刀。
なぜか刺されても痛くなくて、血が一滴も出なくて、傷さえ出来なかった。
「あれは"鍵"という刀だ。夢に閉じ込められたヤツは体が現実世界に戻っても夢に閉じ込められる前の記憶は別の夢に閉じ込められているため戻らない。だが、この鍵という刀は全ての夢の扉を開けれる代物でな。夢に閉じ込められたヤツの心臓を貫くと、記憶が閉じ込められた夢の扉が開けられて記憶が戻るっつーことだ」
便利な刀だな、と思ったのが素直な感想で、感心した。
が、話しは終わったと思っていたのにシュラは言葉を切らずに「だけどな」と続けた。
「夢に閉じ込められるのも、この鍵が使えるのも、全部お前だけなんだ」
「…え」
シュラが腹に描かれている魔法円のようなものから私に刺した刀をゆっくり抜き出しながら私に語り出した。
「お前は"扉"なんだ」
「とび、ら」
「名前は虚無界と物質界を繋ぐ"扉"」
そう、か。
だから私は扉だから、悪魔と人間を繋ぐために悪魔の庇護欲や保護欲を湧かせる"甘い匂い"がするのか。
なぜか、初めて言われたはずの"扉"という言葉が私に馴染むように染み込んだのがわかった。
「ちなみにお前を閉じ込めたのはサタンだ」
「サタン…」
「本当はサタンは…、お前を、殺したかった。自分の脅威となる名前を。だがお前の甘い匂いに邪魔されて出来なかった。だから、」
「私を夢に閉じ込めた」
「…そうだ」
…もうなんだこの中二設定、と言ったらそう言うなとシュラは笑った。
夢とか鍵とか扉とか、私の記憶が正しければ原作になかったはずだ。
……ああ、違うか。
私は元はこの世界の人間か。
つまりいうと、イレギュラーではない。
きっと巻き込まれていくんだろうな。
そんなことを考えていると、シュラが鍵と呼ばれる刀を私に渡してきた。
「これは名前が持ってろ」
「え?でも、」
「なに、これは元々お前の刀だ。てか名前が持ってないと意味成さないしなー。ま、悪魔は切れるから持ってて損はしないにゃ」
「…わかった」
所詮私もキャラクター
(でも、それで守れるのなら)
―――――
シュラに補足と説明をさせたかっただけだったりする
起きたら、またまた知らない天井が広がっていた。
ぼやける目を擦りながら起き上がると、奥の部屋からいつものパーカーではなく露出度がかなり高い服装のシュラが出てきた。
どうやらここはシュラの部屋らしい。
「お、起きたのか」
「…うん」
「なんか食べるか?」
「ううん、いらないや」
ごそごそと布団から抜け出して、シュラの元へ移動する。
シュラと会えたのは本当に、この上ないほどに嬉しいし、あまりいい過去ではないけどシュラとの思い出も取り戻した。
だけどまだいくつか疑問は残っている。
「ねぇ、シュラ。あの私を引きずり込んだ魔法円はなんだったの?」
「ああ、あれはな、禁忌の魔法円の一つで、"夢"っつー魔法円だ」
「夢?」
「そ、夢。あの魔法円は人を夢の中に閉じ込めるんだとよ。けど、閉じ込められたヤツはそれを夢だとわからずに生活していくらしい。お前だって、この魔法円に閉じ込められている間、夢だと気付かずに現実だと思い込んで過ごしていただろ?」
と、いうことは、記憶のなかった六年間を引いた九年間の人生は、全部夢だというのか。
あれだけ苦しい九年間を送ったのに。
…夢、なのか。
「でも…私、ちゃんと成長してるよ?」
「あー、成長はするんだよ。ただし、こっちの世界より成長が遅い。アタシとお前は確かに歳の差はあったが、ここまでじゃなかっただろう?」
「なるほど、ね…。じゃあ、私に刺したあの刀は何だったの?」
あの不思議な刀。
なぜか刺されても痛くなくて、血が一滴も出なくて、傷さえ出来なかった。
「あれは"鍵"という刀だ。夢に閉じ込められたヤツは体が現実世界に戻っても夢に閉じ込められる前の記憶は別の夢に閉じ込められているため戻らない。だが、この鍵という刀は全ての夢の扉を開けれる代物でな。夢に閉じ込められたヤツの心臓を貫くと、記憶が閉じ込められた夢の扉が開けられて記憶が戻るっつーことだ」
便利な刀だな、と思ったのが素直な感想で、感心した。
が、話しは終わったと思っていたのにシュラは言葉を切らずに「だけどな」と続けた。
「夢に閉じ込められるのも、この鍵が使えるのも、全部お前だけなんだ」
「…え」
シュラが腹に描かれている魔法円のようなものから私に刺した刀をゆっくり抜き出しながら私に語り出した。
「お前は"扉"なんだ」
「とび、ら」
「名前は虚無界と物質界を繋ぐ"扉"」
そう、か。
だから私は扉だから、悪魔と人間を繋ぐために悪魔の庇護欲や保護欲を湧かせる"甘い匂い"がするのか。
なぜか、初めて言われたはずの"扉"という言葉が私に馴染むように染み込んだのがわかった。
「ちなみにお前を閉じ込めたのはサタンだ」
「サタン…」
「本当はサタンは…、お前を、殺したかった。自分の脅威となる名前を。だがお前の甘い匂いに邪魔されて出来なかった。だから、」
「私を夢に閉じ込めた」
「…そうだ」
…もうなんだこの中二設定、と言ったらそう言うなとシュラは笑った。
夢とか鍵とか扉とか、私の記憶が正しければ原作になかったはずだ。
……ああ、違うか。
私は元はこの世界の人間か。
つまりいうと、イレギュラーではない。
きっと巻き込まれていくんだろうな。
そんなことを考えていると、シュラが鍵と呼ばれる刀を私に渡してきた。
「これは名前が持ってろ」
「え?でも、」
「なに、これは元々お前の刀だ。てか名前が持ってないと意味成さないしなー。ま、悪魔は切れるから持ってて損はしないにゃ」
「…わかった」
所詮私もキャラクター
(でも、それで守れるのなら)
―――――
シュラに補足と説明をさせたかっただけだったりする