デキちゃったシリーズ | ナノ
一歩手前
妊娠が発覚してから三ヶ月が経ち、今は妊娠六ヶ月目。
私のお腹は結構大きく膨れていて、日を増すごとに不安と期待が大きくなっていく。
そういえばお腹の子の性別がハッキリとわかった。どうやらお腹の子は男の子らしい。これで名前を付けやすくなったなぁ。
ちなみにお腹が目立ち始めたころから、燐の過保護さは更にヒートアップした。もはや寝たきりにされそうだったので、妊婦も少しくらい動かなきゃ体に悪いんだよ、と説得した。
「***ー…」
あ、燐が後ろから抱き着いてきた。珍しいな、燐から甘えて来るなんて。今度はベッドに寝転がり私の膝に頭をおいた。ちなみに私はベッドに座っている。
『どうしたの、燐』
さらさらの燐の髪の毛を手で梳かすと燐は気持ち良さそうに目を細めた。それがなんだか可愛らしくってクスクスと笑った。
「疲れた…」
『ん、お疲れ様』
頭を撫でていると、燐はすぐに夢の世界へ旅立ってしまった。全く、相変わらず寝るのが早いなぁ。
でも、最近の燐は凄く頑張ってくれている。任務の数も増やしたみたいだし。前になんでかって聞いてみたら、私と産まれてくる息子を自分の力で養いたいからだと言っていた。燐のくせに生意気な。
でも嬉しかった。そんなに私とこの子を想っていてくれて。燐は、着実に良い父親になろうとしている。私も頑張らなくちゃね。
『…でも、まだ寝顔は可愛いなぁ』
あどけない寝顔をしている燐の頭を撫でて、頬に一つキスを落とした。
燐一人で頑張らないでね。私のことも頼ってね。燐が私たちを護りたいように、私も燐たちを護りたいんだからね。
その頃―――京都三人組はとある喫茶店である事について話していた。
「あれ、どう思う?」
「ありゃあ奥村くん絶対なんか隠してますわ」
「***さんも最近見まへんしね…」
話していた話題…それは燐と***のことだった。最近燐がおかしいことと***の姿を見掛けなくなったことに対して疑問を抱きはじめていたのだ。
「奥村のヤツがなんか隠してんのはあきらかやな」
「最近、挙動不審過ぎますもんね」
「正直者というか…嘘が下手といいますか…」
燐は燐で話し掛けられても目を泳がせたり、挙動不審になったり、とくに***をことを燐に訪ねると、とてつもないほどに動揺するのだ。
そんなのを見て勝呂たちが疑問を抱かないわけもなく。
「坊、真相確かめましょうや」
「奥村のヤツから直接聞くんか?」
「それが一番でっしゃろ」
「なら明日、聞いてみます?」
「そうすっか」
そしてそんな話しをしているのはこの三人だけじゃなく―――
同時刻、ファミレスでしえみと出雲が似たような会話をしていた。
「絶対に***も奥村も変よ」
「だっ、だよね」
「明日…奥村に聞きに行きましょ」
だがそんな会話を行われていることなんて全くしらない***と燐は、二人仲良くベッドで熟睡していた。
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