デキちゃったシリーズ | ナノ  
 
俺の想い



部屋から飛び出した俺は自室に戻ってベッドに寝転がって天井を眺めていた。

俺だって最初は賛成だった。俺と***の子だし、最初聞いたときは嬉しかったし、産んでもらいたいと思った。確かにまだ17歳だし、頼りねぇかもしれないけど、それでも俺は産んで欲しかった。

だけど、メフィストの話しを聞いて俺はたくさんの不安を覚えた。そう、俺の血も交ざっている子供なら青焔魔の血を引いていることになる。そしたら俺みたいに辛い目に合うかもしれない。敬遠され、もしかしたら俺みたいに仲間に恵まれないかもしれない。最悪、殺されるかもしれない。それなら産まれないほうが俺達も子供も幸せなんじゃないか。そう思った。

しかし、なによりも***だ。普通の子供とは違って、青焔魔の血を引く子供を産むんだ。何があるかわらねぇ。命の危険だってある。死ぬかもしれねぇんだ。俺は***の居ない世界なんて耐えられない。それくらい愛してて依存している。だからこそ、***を失くしたくない。***だからこそ俺に必要なんだ。***が危険だというなら、子供なんて産まなくていい。俺は***を犠牲にして産まれてきた子供を愛せる自信がねぇんだよ………最低だな。


「くそ…っ」


俺は、どうすりゃあいいんだよ…なぁ…ジジィ…!!

コンコンッ

ノックが聞こえ、我に返り「入っていいぞ」と返事をする。任務の話しか勝呂たちかと思えば―――***だった。


『燐、』


俺はベッドに座ったまま咄嗟に***に背を向けた。今は顔を合わせたくねぇから。俺は少し低めの声で「なにしにきたんだよ」と言った。
…***に嫌われたかな。だけど今は優しくする余裕なんてなかった。今は頭がぐちゃぐちゃで、人のことなんて全然考えられないんだ。


『そのままでいいから聞いてほしいの』


泣きそうな***の声に少し胸が痛む。だけど泣きたいのは俺だってだ。


『燐がね、私を想って反対してくれてるのはわかってる…』

「……」

『でもね…どうしても産みたいの、この子だけは…っ』

「っどうしてだよ、どうしてそこまでして産みたいんだよ。自分を犠牲にしてまで…!!」


自分の感情が押さえきれなかった。どうしてだよ、そんなに子供が大事かよ、自分の命より大事かよ。俺よりガキを取んのか?どうなんだよ…***!!


『それでも燐との子だから産みたいの!!』

「―――んだよ、それ…、」

『誰とでもない、燐との子供だからこそ産みたいの…』


***が少しずつ近付いてくるのがわかった。俺は***の言葉に固まっていた。俺との子供だから産みたい…って、どういうことだよ。気が付いたら***が俺の背中に抱き着いていた。


『まだまだ私は子供だけど…本気で好きになった人との子供だから、下ろしたくないの…産みたいの…わかって…!!』

「…っ」


懇願するように、縋り付くように俺に後ろから抱き着く***の腕を引っ張り俺の膝の上に座らせて思いっ切り抱きしめた。***はいきなりのことにビックリしていたが何も言わずにおずおずと俺の背中に手を回した。
それがまた、愛おしくって、


「俺な、」

『…うん』

「もしお前を犠牲にして生まれてきたガキなら殺しちまうかもしれねぇ。愛せる自信がねぇんだよ」

『うん、』

「そんだけお前が大事なんだ。もしお前が居なくなったら、俺は死ぬ」

『燐…』


これだけは俺は思うんだ。***が居なくなったときが俺の死ぬとき。サタンを倒した時でもなく、***が俺の傍から居なくなったときだと思うんだ。そう思う俺は相当おかしいんだと思う。だけど依存してしまった以上どうにもならない。***は難しい顔をしているがこればっかりは変えられないんだよ。


『…私は死なないよ、二人で生きよう』

「ああ、…愛してる」

























「え!?は!?」

「だから、***が妊娠した」

『えへ』

「は、はぁぁぁあ!!?」


あの後任務から帰ってきた雪男の部屋(俺と***が付き合ったから部屋を別にした)に行き今まであったことを喋ると雪男は見事に驚いていた。ずれた眼鏡を外し眉間を揉んでからもう一度眼鏡をかけ直す雪男をじーと見つめる俺と***。


「兄さん…なんてことしちゃってるの…単細胞の獣とはわかってたけど、まさかここまで馬鹿だったとは…」

「お前は俺に喧嘩売ってんのかコラ」


呆れたようにそう言う雪男は本当に失礼なヤツだと俺は思う。なんだ単細胞の獣って。馬鹿って。コイツは俺が兄貴だってわかってんのか!?…たく。
大きな溜め息をついている雪男をキッと睨みつけると更に深く溜め息をついた。…どういう意味だよ、それ


「とにかく、説教はメフィストと***にされたし、俺たちは産むことにしたからな!」

「はぁ…わかったよ。ただしいろいろ覚悟はしなきゃダメだよ?」

「わかってんよ」

「…まぁ、兄さんがそうしたいなら何も言わない。あと僕にもできることがあったら言ってね、***さん」

『うん、ありがとうね、雪男』


やっぱり、雪男は俺の自慢の弟だと改めて思った。


「兄さんだけじゃ頼りないだろうし」


…やっぱさっきの言葉撤回しようかな。


 



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