;愛情ラビリンス | ナノ


  さて、彼をどう構おうか


 
 
突然だが、本当に突然なのだが、私は燐と雪男に閉じ込められている。閉じ込められているといっても手や足は拘束されてないし鎖に繋がれているわけではないし、なに不自由なく暮らしている、俗にいう軟禁というやつだ。

私が閉じ込められたのはちょうど一ヶ月前。燐にちょっと着いてきて欲しいと言われ着いていったら閉じ込められた。最初は雪男も燐を止めてくれたのだが段々と諦めがつき、最近では「軟禁も悪くないね」なんて言う始末だ。全くこの双子は何なんだか。それに一番許せないのは何やかんやでメフィストだ。私が軟禁されていると知っているのに面白いから、という理由で見て見ぬフリの傍観者を決め込んでいる。くそ、一発殴ってやりたい。

だが、私も最近では諦めてきている。ていうかこの生活は楽だから苦ではない。料理は燐の手作りだから美味しいし面倒臭い学校にも行かなくていいし部屋で好きなだけ修業はできる。でもやはりただ一つ不満なのは友達に会えないことか。勝呂くんたちやしえみたちに会えないのは、うん、やっぱ寂しいな。


『…あ、メールだ』


携帯を開き未読メールを開く。メールだけは唯一私と外を繋いでるもの。なんとかメールだけは許された。何やら皆には私は「名前は自分探しの旅に出た」と言ってあるらしい。おい、お前らそれを信じたのか、と聞いた当初はそうツッコミを入れてしまった。ちなみにメールはしえみから。「元気ですかっ?」そう綴られたメールに「元気だよ、しえみや皆は元気?」と送り返す。そうすると「元気だよ!みんなも変わらず元気です」と帰ってきてやや安心。そんな些細なメールのやり取りでも私にとって心は満たされるものだ。


『ふふっ、しえみは相変わらずだなぁ』


思わず笑みがこぼれる。だがそんなほのぼのとした気分はある人が私の携帯を取りあげてあっさりとぶち壊してしまった。


「俺が帰ってきたんだからメールなんて後にしろよ」


むすっとした顔で不機嫌にじとっと見てきたのはいつの間にか部屋に入ってきていた私を軟禁した張本人の燐だった。彼は私の携帯をベッドの方に投げてネクタイを緩め私の隣にあった椅子にドカッと座った。
ああ、いつから彼はこんなに俺様になってしまったのか。私には謎で堪らないのだ。最初は純粋で馬鹿で真っ直ぐで優しくて面白い人だなと思った。今でもその印象は変わらないが余計な印象までプラスされていった。





さて、彼をどう構おうか
今は何よりそれが重要みたいです
不機嫌になっている彼に笑ってしまったのは内緒だ

 
 

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