俺はエントランスに向かっていた。
名前は聞いたことのねぇ海賊団だったが
こんなくだらねぇ事する奴らが
海賊を名乗る事に腹が立つ。

とりあえず能力は使えねぇ。
このホテルが炎上しちまうからな。

まぁ何人いようともなんとかなんだろ。

俺は所々に見張り役として配置された海賊を殴り飛ばしながら思った。

それにしても。
ルピタのやつ。大人しくしてりゃあいいが・・・。

エントランスに降りれば悲鳴と怒号が混じりあって耳に届く。
柱の影から確認したところ
敵はざっと見て10人程度。
いける範囲だ。

「やめてぇっ!!」

「ねぇちゃん!騒ぐなよ?おめぇは船長である俺の女として一緒に来てもらうからな!」

あの美人な受付嬢が船長を名乗る男に羽交い締めにされていた。
他の人質に向けられているのは銃口。
奴らのスキを作って飛び出すか・・・

そう思っていたその瞬間。
敵の海賊の一人が声をあげた。

「なっ!!なんだありゃあ!!!」

「ま、丸腰だぞ!!?」

その声に俺も柱から飛び出し、海賊が視線を向けるその方向を見上げた。
それは二階から突き出たバルコニーの手すりにいた。

丸腰のインナー姿で
手すりに立ち
両手には出刃包丁を持っていた。

「な、なんだあいつ!!コックか!?」

「コックじゃないですよ。」

そいつは笑う。

「ハンターでーす。」

そう。そこにいたのは紛れもない
ルピタ!!

両手に持った出刃包丁を
握り締めた奴は、バルコニーの手すりから飛び降りる。
そして構えた。
その構えは双剣使いだったジェイクの構えと一緒で
あいつ双剣も使えんだな。なんて呑気なことを思ってしまう。
ハッとして俺はルピタに怒鳴り散らした。

「ルピタてめぇ!!大人しく見張ってろつったろ!!」

「あ、エース隊長!すんません」

周りがざわりとした。
俺達の名を聞いて、海賊共が戦意を失っていく。

「エースっ・・・ルピタ。」

「白ひげ海賊団の・・・」

「殺されるっ!!!!」

戦う前にその海賊達は武器を投げ捨てにげていきやがった。
人質や、あの美人な受付嬢は呆気に取られ
俺は深いため息をついたあとルピタに強烈な拳骨を落とした。

「いっだぁあ!!」

「大人しく見張ってろって言ったろーーがぁ!!」

「だって!気絶したオッサン達じゃお喋りも出来ないじゃないですか!!」

そう言って出刃包丁を俺に向ける。
なんだこいつ。危険人物だ。

「つかその出刃包丁どっから・・・」

「え?キッチンです!いい匂いを辿ればたどり着くと思って頑張りました! 」

なんだこいつ。犬か?




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