柄にも無く早起きしてしまった。
流石にこの背中の刺青を見られたらまずい。
クローゼットを開いて洋服を吟味する。

ちょっと待て。

なんでこんな服で悩まなきゃなんねぇんだ。


結局。無難なシャツの上に黒のジャケット。
昔、女にそそのかされて買ったは良いが
一回も履いたことのないジーンズにした。
鏡に映る自分が自分じゃねぇみたいで
なんか笑えた。

さて。早速アイツを起こしに行こうか。

アイツの部屋の前でいくと
聴こえてきたのは地響きのようなイビキ。
寝てんじゃねーーか!!
早起きしてる俺馬鹿すぎるじゃねーか!!

頭にきたので扉を蹴破ってやった。

「起きろーーーーー!!!!」

「ファッ!?」

ハンターの条件反射なのだろうか
寝ぼけ眼のルピタが大剣を振りおろしてきた。

「っぶねぇ!!俺だよ!!」

「え?ファッ!?あ、おはようございますエース隊長。」

ひどい寝癖の頭を下げて綺麗なお辞儀をしたかと思えば、次の瞬間思い切り吹き出すルピタ。

「ギャハハハハハ!!なんすか!?その格好!今から仮装大会ですか!?」

腹を抱えて転がり回るルピタがムカついたので
思いっきり拳骨しとく。

「いだぁあ!!なんなんですか!もう!嫌がらせですか!?」

「何が嫌がらせだ!!行かねぇならチケット破るぞ!?」

俺はそう言ってポケットからチケットを取り出した。
そうすりゃあルピタの奴慌てて支度しだしたんだ。

「おい。ちょっと待て」

「なんすか?後頭部の防具を被るだ・・・」

「俺が買ってきてやった服は?」

「あー。だって防御力低そうだし、私にはあんなハイカラな服似合わないっすよぉ!」

防御力って・・・

「いいから防具脱いで早く服着ろーーー!!!

「いやぁあああぎやぁあ!!」

俺は追い剥ぎのように防具を脱がせると、真新しい服に袖を通させた。

「・・・」

「なんすか?その顔。」

俺は普通の洋服がこんなにも似合わない奴に初めて出会った。
いや、違う。見慣れないだけだ!
ここで笑っちまったら仮にも乙女心を傷つけちまう。

「笑いたきゃ笑ってください」

「そ、そんな、ん、じゃ、ねぇって、ぶふぅ。」

「今ぶふぅって言いましたね。」

「いっ、言ってねぇって!ほら行くぞ!」

そう言って踵を翻した俺の後方から何やらガチャガチャと忙しい物色音。
振り向けば大剣を背負ったルピタがいた。

「・・・それ置いてけよ?」

「武器はハンターの魂です!!!」

「そんなもん持ってたらテーマパークに入れねぇだろーがぁあ!!!」

なんとか俺達はモビーを出発した。






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