ここは新大陸に分類される小さな島
孤島。
この小さな島にあるのはモガの村。
独自の文化を栄えさせるその村に
白ひげ海賊団はいた。

光の帯に飲み込まれたその後
チチカナを拐ったあの集団を倒し
束の間の休息を
この村で過ごす。

ザァザァと潮が鳴く夜のモガの村は
ワイワイと一際賑わっていた。
ドンドンと鳴る太鼓の音に、舞う踊り子。

「宴じゃー!!」

村長は帰還した英雄達に杯をかかげ、頬を赤く染めて喜んだ。
そしてその隣で白ひげが豪快に笑う。
珍しい事に、酒に強い白ひげも
酔いが回っているのか頬を赤く染めて笑っていた。

「グラララ!村長!アンタ粋な方だ!この酒は上物か?」

「ワッハハハ!!そうだとも白ひげ殿。滅多に手に入らぬ酒じゃ!沢山ある!じゃんじゃん飲んでくれーーー!!」

村長は口の端から零れた酒をぐいっと拭うと高らかに笑った。

「オヤジがあんなに酔ってるとこ初めて見た・・・」

「俺もだよい」

エースとマルコはそんな白ひげ達の様子を見てあんぐりと口をあける。

「さささ!マルコたいちょー!エースたいちょー!飲んで下さいよぉ!イヒヒヒヒヒ」

マルコとエースに酌をするのはルピタ。
彼女は既に出来上がっていた。

「だ、大丈夫かよい」

「ダメっぽいぞ」

その証拠に、ルピタが注ぐ酒がエースが持つ杯からドボドボ溢れ出している。



「俺はサッチぃいーー!!イケメンだぁああ!!」

「にゃ!!騒音にゃ!!!」

サッチも既に酔っており、空ビン片手に熱唱してる。
まだその酒を口にしていないマルコとエースは
初めて酒が怖いと感じた。
そんな二人の横で唯一正気なチチカナが酒を一口で飲み干すと口を開く。

「これは黄金芋酒というお酒ですの。酒の王とも呼ばれる高級酒ですわ」

「そうなのかよい。」

「はい。口当たりが良くグイグイ飲めてしまうものですから皆さん泥酔してしまって大変ですわね」

そう言ってクスクス笑うチチカナは、また杯に酒を注いだ。
マルコは一口口に含んでみる。
今まで飲んだことのないような風味が口一杯に広がった。その甘美な甘みは美味としかいいようのない味で
隣のエースは、うめぇうめぇといいながら
飲みまくっている。


「うめぇよい」

「うふふ。でも口当たりが良いといって、あまり飲みすぎると・・・ああなりますわ」

チチカナが指差した先には、

「サッチたいちょー!そぉれ!イヒヒヒヒヒ!!」

「レシーブ!!サッチレシーブ!!イケメン!!俺イケメン!!」

「やめろにゃあああ!!おぇえええ!!!」

リィリィをボールにしてバレーボールもどきをするサッチとルピタの姿があった。
確かにああはなりたくないと、マルコは本気で思った。



しかし、酒というのは時に人を惑わすらしい。
あと一杯だけと決めて早一時間ほど
マルコは黄金芋酒の虜になっていた。
隣のエースはやられたらしく

「ぐおーー!!!」

騒音並みのイビキをかいて、しかも、どうしたらそうなるのか?
皿に盛られた巨大リンゴに頭を突っ込んで眠っている。
端から見たらリンゴ人間のようだ。


マルコは未だ正気だが、いつもよりは酔うのが早いと感じていた。
ふっと隣のチチカナを見れば
顔色1つ変えずに
もう何本もの酒を開けていたのだ。

「うふふ。やはり黄金芋酒は美味しいですわ」

そう言って未だバレーボールをし続けているルピタ達を見てクスクスと笑う。


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