私は真っ白な空間にいた。
まるで何もかもが真っ白な部屋にいるみたい。
私はそこからは動けずただ立ち尽くすのみ。
でも部屋の先は真っ暗で見えない。
丸で何もかもが真っ黒な部屋が
目先に広がってるみたいだ。

「私」

ぽつんと呟いた言葉が響き渡ってすぐ
クスクスと笑う声が聞こえた。

「だ、誰!?誰かいるの!?助けて!ここから出して!」

誰かいる。確信した私はそう叫んでみる。
でも・・・。

「どうしたの?瑠璃ちゃん?」

真っ暗な空間から現れたのは、カナエさんだった。

ぞわりと逆立つ神経に、底知れぬ恐怖が私を支配する。

「こ、ここはどこなの!?どうして!私に何をしたの!?」

震えた声で問えば、カナエさんはクスクスと笑いを噛み殺しながら私を見据えていた。

「ここはあなたの精神の中。さすが瑠璃ちゃんね!真っ白で純粋な精神の持ち主だもの」

カナエさんはそう言ってニヤリと口角をあげる。

「見て。あっち」

カナエさんが指差す先には真っ暗な漆黒。

「あたしの精神は真っ暗闇。あなたとは全然違う。」

そう言った瑠璃さんは機嫌が良かった。
くるりと一回転して見せると
楽しそうに笑い声をあげる。
まるで欲しいものを手に入れた子供のように。
それが更に恐怖を駆り立てた。

「ど、どうしてこんなこと」

「どうして?決まってんじゃん!瑠璃ちゃんのためだよ?」

「な、・・・」

「だって、誰にも邪魔されず彼氏と幸せになりたいんでしょ?ふふっ、もうすぐ叶うよ?その願い。大丈夫ムカつくあの女は先にやっといたから」

ムカつくあの女?
私はハッとした。
まさか霊美さんの事を言っているの?

「霊美さんに、何したの?」

「ん?何ってそのまんまの意味だよー!いいじゃん?だってそう思ってたんでしょ?」

カナエさんはゲラゲラと笑っていた。

「わ、私はそんなこと望んでないわ!!」

叫んだ私を、カナエさんがギロリと睨み付ける。

「嘘。あなたはそう思ってたの。だからあたしが代行してあげたの」

「わ、私は・・・」

「ほら、何も言い返せない。それは図星だからでしょ?ふふっ、まぁいいわ。さっそく仕上げしなきゃね?」




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