朝。
昇降口でばったりサッチに出会った。

「おう!おはよー。エース」

「おう!おはよ」

サッチはふわーとあくびをしながら俺に挨拶する。

「んだよ。サッチ。大分眠そうじゃねーか!」

「おう!聞いてくれ!昨日シャンクスから借りたAVがメチャクチャやばくてよ!」

「あーはいはい。よかったな」

「んだよー!!くっそリア充め」

サッチはブウブウ文句を垂れながら自分の靴箱の扉を開く。
それと同時にヒラリと何かが落ちたんだ。

「おいサッチ。お前の靴箱からなんか出てきたぞ」

「あ?」

サッチはそう言って自分の足元に視線を移した。
そこにあったのは、可愛らしい封筒。
サッチはそれを拾い上げ首をひねる。

「おい。開けてみろよ!」

「お、おぅ」

サッチはかさかさとそれを開封した。
これまた可愛らしい便箋に
可愛らしい文字で・・・

サッチ先輩へ。
渡したいものがあるので
昼休み屋上へ来てください。
待ってます。

1-C 吉田 サヤコ

「お、おい。これって・・・!!!」

「ラ、ラララララブレターーー!!!?」




サッチは終始にやけてた。
あの便箋を握りしめニヤニヤニヤニヤ。

「ついに俺にも春がきたぁ・・・」

そんなことを呟いては窓の外を見つめ、キメ顔でため息をつく。
そんなサッチに俺とサボは顔を見合わせ苦笑いだ。

「おっ!サッチどうしたー?昨日俺が貸してやったヤツが良すぎたんだなぁ?」

そこへシャンクスがやってきて、サッチの肩に腕を回す。

「おぅ。シャンクス!俺はもうAVなんかに頼らねぇぞ」

「お?彼女でも出来たかぁ?」

「これ見ろよー!」

「ん?こりゃラブレターか?」

「げへへ。いーだろぉ」

シャンクスはサッチからあのラブレター風を受けとると、手紙を見つめほぉと唸る。

「吉田からかぁ。アイツ見かけによらず大胆だなぁ!」

「シャンクスその子の事しってんのか?」

「おぅ。一年にも数学教えてっからなぁ。大人しくて、背ぇちっちゃくて、頭良いヤツ。」

「秀才美人かぁあ・・・」

サッチは鼻の下を伸ばして秀才美人とのこれからを想像しているのだろうか。
こいつの頭は年中下ネタだからな。


「なぁ、吉田 サヤコって知ってるか?」

「え?」

昼休み、瑠璃と廊下を歩きながら
サッチにラブレター風を送った吉田サヤコについて
同じ一年生である瑠璃に聞いてみた。

「確かC組の子だよね?詳しくは知らないけど、C組にいる友達が言ってたのは・・・ちょっと暗くて、休み時間になるとずっと本読んでる子なんだって。なんで?」

「サッチがよぉ、その吉田って子からラブレター風貰ってさ」

「サッチ先輩が?ラブレター風って、ラブレターじゃないってこと?」

「んー。好きですとは書いてなかったんだけど、昼休み屋上へ来てくださいって書いてあって」

「へぇ」

「俺らも今から屋上行くだろ?コッソリ覗き見してやろーぜ!」

「え、ちょ!エース!?」

俺瑠璃の手を引いて屋上へまっしぐら。
屋上へつけば、まだサッチと吉田って子の姿はなかった。
俺と瑠璃は屋上入り口の上にある貯水タンクが設置れたは場所へ
梯子を登りその影へと隠れる。

「の、覗き見なんてダメだよ。エース」

「大丈夫だって!ここからなら見つからねぇよ!」

しばらくすれば、サッチがやってきた。
辺りをキョロキョロ見回し、誰も居ないことにガックリ肩を落とした。
しかしすぐにその子はやってきた。
黒髪のおかっぱ頭に、小柄な体。
顔までは確認出来なかったが、サッチの所まで小走りで向かう。
そして何かを喋り持っていたものを渡し終わった後、そそくさと去っていった。

「よぉ!サッチ!」

「うげ!エース!!?」

「なにもらったんだ?見せてみろよー!」

「ちょ!やめて!やめてぇえ」

俺はサッチからそれを奪うと中身を確認
それはまた可愛らしい弁当箱だった。

「っ返せよ!!」

サッチは真っ赤な顔してそれを奪い返す。
まるで中学生のようなやり取りだ。

「おーい。瑠璃。・・・あれ?」

そこで気づいたんだ。
さっきまで一緒にいた瑠璃がいないことに。
・・・俺なんかしたか?
いや。なんもしてねぇよなぁ。
確かにここ最近、瑠璃の様子がおかしかった。
元気ねぇっていうかなんていうか。
聞いてみたけど
なんでもないよ!
いつも通りだよ!
って笑うだけだし・・・。

「よかったなサッチ!んじゃ!」

俺は瑠璃を探しに行くことに・・・。



「んぁ?瑠璃?エースと一緒じゃなかったのか?」

「いや。さっきまで一緒だったんだけどよ・・・」

瑠璃のクラスに行けば、ルフィが友達と飯食ってた。
モゴモゴと巨大おにぎりを頬張り、俺に視線を向ける。
クラスに戻ったのかと思いきや、そこに瑠璃の姿はなかった。
おかしいなぁと思いつつ、クラスを出ようとすれば
誰かに肩を叩かれる。
振り向けば、そこには瑠璃と仲良しな
ナミって子が腕を組んで立っていた。
しかもかなり怒った様子で。

「な、なんでしょう?」

「エース先輩。ちょっと・・・」

俺はナミに連行された。




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