9月の初め。
まだまだ夏が残る今日この頃。
長くて、楽しかった夏休みも終わり
今日から二学期。
クラスの奴らとは、夏休み中会いまくってたからそんなに久しぶりではない。

俺の名はポートガス・D ・エース。
海洋大学付属高校の三年生だ。
なんとか留年なしでここまでこれたが、進路どうしよう。なお年頃だ。
まぁ。今が楽しけりゃなんでもいいが。

寝坊した弟ルフィを置いて、俺は颯爽と家の前の坂を上がっていく。
この坂を越えた頃に、恋人である瑠璃が可愛い顔して待ってやがる。
まぁ、昨日も会ったから久しぶりではないのだけれど。

しかし不思議なもので、恋人とは常に会っていたい。
飽きっぽく、他に目移りしやすいこの俺が
珍しくのめり込み、自分から告白して付き合ったのは瑠璃が初めてだ。


意気揚々と坂を登る俺の肩を誰かが叩いた。
多分ルフィだろう。

「よぉ。ルフィやっと・・・」

振り返った俺の前にいたのは、ルフィではなかった。
ボサボサの天パーで、眠そうな目をしている
知らない女。
ヨレヨレのTシャツに、はき古していそうなジャージのハーフパンツ。
そいつはふぁーっとデカイあくびをしたあと、ニヤリと不気味に笑ったんだ。

「やぁやぁ。」

「だ、誰だよてめぇ」

「いや。ちょいと君が気になってねぇ。」

そう言って、天パーはまたニヤニヤ笑う。
そして俺を指差し、

「いち、にぃ、さん」

と数えだしたのだ。

「な、なんだよ」

「キシシシシ。3人。君の肩に乗ってるからさぁ。気になっちゃってねぇ」

天パーは奇妙な笑い声をあげて、肩を揺らす。

「な、何いってやがんだ!?なにが3人だよ!!」

「何がって、霊さ。しかも女の生き霊」

「ふざけんじゃねぇ!!いきなり気味悪ぃこといってんじゃねぇよ!!」

なんだこいつは?
俺の背中が、熱い日差しを浴びているのにも関わらず
サーっと寒くなった。

「それはすまない。ただ気を付けたまえよ。生き霊は死んだ霊よりたちが悪いからねぇ」

クツクツ肩を揺らし笑いながら、俺を通りすぎる天パーの背中を目で追った。
本当になんなんだ?あれか。夏の日差しに頭をやられた不審者か?
そんな時、またもや俺の肩を誰かが叩いた。

「エース!!」

「うぉおおおお!!!」

「なんだよー。先行くなんてひでぇじゃねぇかぁ」

それは弟のルフィだった。
さっきの事もあり、俺は変な悲鳴を上げてしまう。

「エースなんか顔青いぞ!!?大丈夫か!?」

「お、おぅ。それよりよ!アイツ見てみろ!超変なヤツで・・・」

俺がルフィを見ながら、まだ天パーがいるであろう坂の上を指差した。
するとルフィが怪訝そうに首をかしげるんだ。

「エース。何いってんだ?誰もいねぇじゃねぇか」

「え?」

俺は振り返った。
そこに天パーの姿は見当たらない。
嘘だろ?さっきまでそこを歩いてたのに!

「本当に大丈夫か?」

「あ、あぁ。俺の見間違いだった。行こうぜ」

俺は天パーを忘れることにした。



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