ある日の事。
教室でサッチ達と共に他愛のない話をしてれば、遅刻してきたサボが顔をキラキラさせてやってきた。
「おせぇよ!遅刻だぞサボ!」
「わりぃ!実はよぉ」
サボはそう言って制服のポケットからあるものを取り出したんだ。
「じゃじゃーん!噂の新機種ポイポンファイブだー!!」
「すげぇえええ!!手に入れたのかよ!サボ!!」
「スーパーすげぇぜ!!アーウ!!!」
「すごいよい!これ、予約しても中々手に入らないやつだろい?」
「まぁな!俺様は流行に敏感な男なんだぜ!」
サッチ達はサボに群がり、噂の新スマホ
ポイポンファイブに夢中だ。
話を聞けば、ポイポンファイブが当たる懸賞をしつこく応募したところ当たったらしく・・・
それを今日受けとる為に遅刻してきたんだと。
「エースにも見せてやるよー!ほぅら!」
「興味ねぇよ」
「サボー!エースは重度の機械音痴だぞ?アプリとかダウンロードとか分かんなくて、スマホに変えられねぇんだから!」
「てめぇ!バカにしてんじゃねーぞ!!スマホのディスプレイにヒビ入れてやろうか!?あァ!?」
どうでもいい言い合いをし続ける俺とサッチ。
そんな俺達を他所に、サボはおニューのポイポンファイブをいじくりご満悦だ。
「やぁやぁ。サボ君。なんだい?それは」
そこへトイレから戻ってきた霊美が、サボのポイポンファイブを覗きこむ。
「お!霊美見てくれよ!噂の新機種ポイポンファイブだ!」
「ポイズンファイブ?キシシシ。それはまたデンジャラスな名前だね」
「ちげぇっ!ポイポンファイブ!!」
サボはあるアプリをダウンロードしたらしく、その自慢話を始めた。
「そういやぁ、サッチ!このアプリ知ってるか?」
「え?なんだよ」
「この出会いアプリやべぇんだぜ!俺さっき登録したばっかなのによ!もうこんなメールきてんだ!」
そんなことを言いながら騒ぐサッチとサボを横目で見ながらはぁっとため息をついた。
「レビューもけっこう良さげだなぁ!」
「だろ?サッチもダウンロードしてみろよ」
「おう!・・・ん?なんだこれ」
サッチがそう言って顔をしかめた。
俺も気になって画面を覗きこむ。
それはこのアプリのレビュー画面。
いろんなレビューが書き込まれる中。
異様なレビューに目がいった。
奴ニ気ヲツケロ。
とか
奴ニアッチャイケナイ。
とか
奴ガ来ル
とか
そんな事がつらつら書かれてた。
それは皆、同じ人物からの書き込みのようだ。
そして極めつけの書き込みが
奴ニ殺サレル。
だった。
その書き込みを最後に、その人物からの書き込みはない。
「あーこの書き込み?多分嫌がらせレビューだろ!ほら出会えなかった腹いせ的な!」
サボはそう言って笑っている。
そこでチャイムがなった。
「おおーい!席着け!野郎共ー!」
やる気のないシャンクスの声で皆は渋々席につく。
「あー。この公式がこうだから・・・ふぁー。寝みぃなちくしょー」
シャンクスのやる気ゼロ授業中も
サボはポイポンファイブに夢中なようで、ずっと下を向いて時々ニヤニヤしていた。
放課後。
全ての授業が終わり、俺はんーっと背伸びした。
さて、瑠璃のこと迎えにいって帰るか
と思えばサボがルンルンと俺の元へやってくる。
「エース君!」
「んだよ。気持ちわりぃ呼び方すんじゃねーよ」
「僕ねー!これからデートなんだぁ」
「うぉ!もっと気持ちわりぃよ。サボ」
にんまりと目尻を下げたサボの周りには完璧に花畑が出来上がってる。
「でね?エース君!この辺りでおすすめのデートスポット教えてぇん」
「はぁ?」
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