「エース」

「おぅ。」

幽霊カップルの件の次の日。
俺は瑠璃を呼び出した。

仲直りデートってやつだ。

「昨日は本当にごめんなさい!」

俺は驚くほど綺麗に頭を下げる。
とにかく瑠璃に謝りたい。その一心だった。

「エース。私こそごめんなさい。些細なことで怒っちゃって・・・」

「瑠璃・・・」

俺が頭を上げれば、瑠璃はほんのり赤くなっていた。
そんな瑠璃が愛しすぎて、思わず抱き締める。

「ちょっ!エース!?」

「・・・瑠璃に嫌われるかと思った」

「・・・エースの事嫌いになるわけないじゃん。私だって不安だったよ?エースに嫌われちゃうんじゃないかって」

「・・・ばか。嫌いになるわけねぇじゃん」

俺は瑠璃を離すと、あの560円を彼女に手渡す。

「これ・・・」

「お前の忘れもん。」

そう言って笑えば、瑠璃もふんわり笑ってくれた。
昨日のカフェへ移動して、お喋りに花を咲かす。

「そうそう!昨日ね。忘れ物取りに学校行ったの!」

「学校?1人でか?」

「うん。そしたらね、カナエさんっていう先輩に会ってー」

瑠璃はキラキラした顔でそのカナエという女の話をしている。
なんだかその女に軽く嫉妬した。


カフェを出て、ブラブラと街中を歩く。
しっかりと手を繋ぎ、離さないように。
一通り街を回った俺たちは、近くの河川敷に腰をおろした。

やっぱり、好きな女といれば
1つの欲求が沸き上がってくるものだ。


「なぁ」

「んー?」

近くに咲いた小さな花を指先でつつく瑠璃に視線を移す。

「今から俺・・・」

そこではっとした。
俺ん家来ねぇか?という言葉を飲み込む。
ダメだ。
家には天パーがいるからだ。
確か今日は1日
ドラクエやるとかなんとか言っていたはずだ。
この間のように、突入されちゃあ
たまったもんじゃない。

「なぁに?」

瑠璃が俺を覗きこむ。
その顔が可愛すぎて、抱きしてめてキスをした。

「ん、!エース!」

「わりぃ」

顔を真っ赤にさせる瑠璃を離して手を取れば、困ったように眉を寄せる彼女。
俺は辺りをキョロキョロ見回した。

確かこの辺に・・・


あった!!

俺が探したのは、いわゆるラブホだ。
この辺にリバーサイドホテルとかいうラブホがあったのを知っていた。
なんでも昔あった古い旅館を改装したホテルらしい。
見た目はラブホというより、ラブ旅館。

入ったことはねぇが、この際仕方ない。


「ほ、ほんとに行くの?」

「嫌か?」

「嫌じゃないけど・・・私ホテル初めてだから」

そのホテルの前で顔を赤らめる瑠璃。

「嫌ならやめるぜ?」

俺がそう言えば、瑠璃は更に顔を赤らめ

「嫌じゃない。してほしい」

って小声で放った。
この反応はいつ見ても可愛すぎる。



そのホテルは全室和室。
畳にひかれた布団は、どぎつい赤のシーツを纏っていて
いかにもラブホらしい。

瑠璃は部屋に入ると落ち着かなさそうに、そわそわしていた。

「そんなそわそわすんなよ」

「だって・・・。エースは初めてじゃないの?」

その言葉に言葉を詰まらす。
ぶっちゃけ初めてではない。

「は、初めてだよ。俺だって」

「ふーん?まぁいいけど」

疑いの眼差しを向ける瑠璃。
話題をそらすためにテレビをつければ、アダルトチャンネルだった。
更に気まずくなって、ソッコー電源を切る。

「私。シャワー浴びてくる」

「一緒に入る?」

「ひっ1人で入るもん!!」

瑠璃は、バカ!!と言いながら浴室へ向かった。
しばらくすればシャワーの音。


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