「どうやらサボ君達が言っていた、この学校の七不思議とやらは本当だったようだ」

「は?」

そこで俺はハッとした。
いつぞやにサボとサッチが話していた
この学校で死んだという女子生徒の話。

「しかし、間違いが二つ程・・・1つ。彼女の念は七不思議で片付けられるような可愛らしいものではないこと」

霊美はそう言いながら持っていたあの呪いの首飾りの珠達を、その掌からフッと開放した。

「2つ。彼女はもう、人の魂と言う枠を通り越し・・・」

バラバラと音を立て、赤い珠が床に転がる。

「輪廻も望めない、悪霊。またの名を“鬼“と化していること」

霊美が俺に言った言葉が
フラッシュバックした。


『憎しみにかられらば、飲み込まれ鬼になってしまう。鬼になったものは手当たり次第の人間を襲い、魂を食らいつくす。理性の欠片もない化け物に成り果てるんだ』



目の前のカナエはゲラゲラと笑いながら
俺達を指さしいた。
そして気づいたんだ。先程から瑠璃の体にまとわりつく黒い何かの正体に。
それは段々と形を変え、見たこともないような形相の女になっていた。
言うなれば女の姿をした鬼だ。

「おいで。ガラシャ」

霊美がぼそりと呟けば床に散らばった赤い珠達が一斉にカタカタとなり始め、閃光を放つ。
まるで目の前で魔法を見ているかのようだ。
そして現れたのはあの骸骨。

でも、その姿はどんどんと変化してゆく。
その骨に肉がつき、体まで現れた。
そして、綺麗な着物を纏い
ふわりと長い黒髪を靡かせ
あの眼球だけだった目は
スラリと鋭い切れ長の綺麗な瞳になっていった。

俺が悪霊と暴言吐いたあの骸骨は
それは神々しいとも言える
和服美人へと変貌を遂げる。

そうか。これが噂のメガシンカ!

混乱した俺の頭は、いつもより遥かに馬鹿になっていた。


『この姿になるのはお久しゅう御座いますなぁ。霊美殿』

「そうだね。何百年ぶりだろう」

『フフフ。嬉しゅうございます。』

呪いの骸骨改め
和服美人は、上品に袖で口元を隠し
小さく笑った。

「どうだい?ガラシャは君好みだろう?」

「おぅ。超美人・・・ってちげぇええ!!なんだよこれ!!何展開だよ!!?」

「何展開・・・。そうだなぁ。ドラクエで例えるならラスボス戦。と言ったところだろうか?」

「ラスボス戦!!」

ラスボス戦か。そうか。
ってちげぇええ!!

俺は目の前の現状を把握できない頭を掻きむしる。

そんな俺を無視して霊美は確かにこう言った。


「残念だよカナエ君。こうなる前に会いたかったなぁ」

その瞳は
やっぱり眠たそうに笑っていた。



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