「っ瑠璃!?」
目の前の瑠璃は、瑠璃であって瑠璃じゃあない。
それを理解するのが遅かったんだ。
ひっくり返る俺の視界。
女とは思えない力で俺はこの瑠璃を名乗る女に組み敷かれていた。
「ねぇ?エース?」
ニタリと笑うその顔は
やっぱり瑠璃で、俺の背中に悪寒が走る。
「っ」
「"この子"ねぇ。あなたの事だぁいすきなんだってさ。」
そう言って俺のネクタイをシュルリと外し、首筋に舌を這わす。
「っやめ」
「もうすぐね。この子の体。あたしのもんになるからさぁ。だから」
「っ」
「一緒に死んであげなよ」
瑠璃を名乗る女の手が俺の首にかかって
そのままぐぐっと力を込められる。
「っあ、か」
酸素を取り込む事が出来なくなった俺は、必死にその手を退かそうとするが
びくともしなくて
次第に目の前すら霞んで来やがった。
電話がきて
学校に向かい
そして現在。
この短時間に起きたことを理解する間もなく
俺は死ぬのか?
そう思ったその時だった。
パシンと何かが女のこめかみに当たって
女がすげぇ痛がって
床を転がり回って。
嘘のように俺の体が自由になった。
「やれやれ。本当に困った人だ。君ってやつは」
キシシシと、あの独特な笑い声が耳に染みた。
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