なんで。
なんでこうなった?
俺はない頭をフル回転させ考えた。
あの時はカッとして
わかったと言ってしまったが
瑠璃と距離を置くなんてあり得ない自体だ。

今日はじじぃが珍しく居て、
今夜は、出張先で買ってきた松阪牛のステーキだと騒いでいたが
食う気にもならねぇ。

俺は部屋に引きこもり、ケータイを開いた。
電話してみようかな。
いや!一度わかったと言ったんだ!
いや、でも・・・。
ああああ!!ちくしょーー!!

変な意地と女々しさがぶつかって
ワケわからねぇ感じになってきちまった。

待つって言ったけど
いつまで待てば良いんだよ。
ちくしょう。

俺は途方もなく遠い未来にため息をついた。
でも待つと言ったんだ!
ここで待たなきゃ男が廃るぜ!

心の中でかっこよく決めて、俺はテレビをつけた。
映ったのは恋愛バラエティー番組。
素人カップルが自分たちのなれ初めを話すトークショーみてぇなのだ。

『ひろくんはぁスッゴク浮気しょうだったんだよねぇ』

『うん!でもみーちゃんと出会って変わったんです』

『へぇ。どう変わったの?』

『みーちゃん以外だと、たたないんすよぉ!』

ワハハハハ!

バカみてぇ。
そう思ってテレビを消した。
俺はどうしたらいいんだ?
だって現に浮気なんてしてねぇ。
さっきのバカ彼氏じゃねぇけど
瑠璃以外の女で・・・なんてあり得ねぇのに。

俺はまたケータイを開いた。
勿論着信も、メールも来ちゃいない。

どうして?

そうか、アイツのせいなのか?
俺の瞼の裏に浮かぶは

あの憎たらしい天パーのニヤニヤした顔。

しかし、アイツに何を言ったところで
この状況は変わんねぇ事は確かだ。
俺はそんなことを思いながら微睡みに落ちていった。

「ん。」

フッと瞳をあける。
どうやら眠ってしまっていたようだ。
時計を見れば時刻は8時過ぎ。
まだ8時かよ。と思いつつ重いからだを起こした。

部屋から出れば、ばったり霊美に遭遇してしまう。
今こいつの顔見たくねぇよ。

「やぁエース君。君の分のステーキはラップして取っておいてあるよ」

「おお。っあのよ!」

「なんだい?」

「しばらく俺に話しかけんな。つかずっと話しかけねぇでくれ学校でも、家でも」

「ほぉ?なんでまた?」

「っ色々あんだよ!」

「キシシシ。当ててあげようか?」

その茶化すような天パーの言葉に俺はピクリと反応する。

「瑠璃君が、君とわたしの関係を疑ってる。そんなところだろう?」

「・・・」

「それが原因で、距離を置こうとでも言われたところか」

っこいつは、
いつも、いつも
俺を読むように・・・!!

「心配することはないさ。現にわたしと君の間には何もないんだ。わたしが言えるのは待つしか」

「るせぇよ」

「ん?」

「うるせぇよ!てめぇはいっつもいっつもっ!!心ん中見えてるみてぇにモノ言いやがって!幽霊が見えたり、変なまじないにやたら詳しかったりよぉ!気持ちわりぃんだよ!いいか?学校でも、家でも俺に構わねぇでくれ!!」

そこまで言ってハッとした。
ここまでボロクソ言ってやったのにも関わらず、ヤツの顔は色ひとつ変わらずニヤニヤしてるんだ。

「言いたい事はそれだけかい?」

「・・・は?」

「言いたい事があるならすべて吐き出した方がいい。」

「っねぇよ!!」

「そうかい。キシシシ。後少しの辛抱さ。それまで我慢してくれよ」

霊美はそう言って俺を通りすぎると、バタンと自分の部屋へ入って行った。
くっそ!!
アイツに八つ当たりしたって何も解決しねぇのに 。

ん?そういえば
アイツ、後少しの辛抱さって・・・。
何の事だ?

しかし、話しかけんな。
と言ってしまった手前
何も聞けなかった。
俺はつくづくかっこわりぃ男だ。



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