「へぇ。またその女と彼氏仲良くしてたんだぁ」

「私結構心配性なんで、どうしても気になっちゃって。」

「ふぅん」

するとカナエさんはこれでもかってくらい
私に顔を近づけて、にぃって笑う。

「その女。消えちゃえばいいのにねぇ?」

「え?」

「だってそうじゃん?その女が来てからでしょ?彼氏がおかしくなったの」

「べ、別に私はそういう風に思って・・・」

「嘘。顔に書いてあるもん。あの女さえ来なければ私と彼氏は何の問題も無かった。あの女さえいなければいいのにって」

「・・・っ」

瞬間。
カナエさんが不気味なくらい笑ったんだ。
私は怖くなって、その場から逃げ出してしまった。

「はぁっ、はっ」

私は無我夢中で外まで走った。
ふっと校舎を振り返って見ると
校舎の二階の窓から
誰かがこっちに向かって手をふっていたんだ。

それがカナエさんだって気づくのに
時間はかからなかった。

私は見なかった振りをして、学校を後にする。
体の芯からぶるぶると震えを感じた。
悪寒が走る。この言葉がぴったり合う。

カナエさんが怖いって思ったのも事実。

でも、カナエさん以上に
自分が怖かった。

カナエさんが言っていたあの事。

あの女消えちゃえばいいのにねぇ?

見透かされた気がしたんだ。
そう思ってないはずなのに
どこかでそう思う私がいるんだ。


私。
霊美さんの事

これ以上エースに
近づけないように
消えちゃえばいいのに
って

思ってしまってたんだ。



空はすっかり暗くなっていた。
それと同時に私の心も
真っ暗に染まっていく。


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