シャワーを浴びながら考える。
考えれば考えるほど、あの天パーは得体が知れねぇ。
まぁ考えたってしょうがない。
別に俺には関係のねぇことだ。
俺は蛇口をきゅっと締めた。
部屋に戻れば、瑠璃が布団の上にちょこんと座って俯いてた。
「瑠璃」
優しく名前を呼べば、弾かれたように俺を見つめる。
その顔は真っ赤で、初めて瑠璃を抱いた時の事を思い出す。
布団に膝をつき、そっと瑠璃に口づけた。
「ん」
「緊張してんのか?」
「だっ、だって雰囲気が違うし・・・」
しどろもどろに答える瑠璃がすっげぇ可愛くて、いつもより興奮を覚える。
そのまま優しく押し倒し、俺は無我夢中で瑠璃を貪った。
「そ、それじゃあ」
「おぅ!またな!」
瑠璃の家へ送った時には既に日は沈んで、辺りは薄暗い。俺がそう言って手を振れば彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめて、手を振りかえした。
久々に瑠璃を堪能した気がする。
俺は意気揚々と家へ戻った。
「ただい・・・」
「ちげぇって!そこは、あれだ!頑張って攻略するんだ!」
「キシシシ。ルフィ君。もうちょっと分かりやすく教えてくれないか?君が持ってる攻略本がなんのためにあるのかわからないよ」
「えー!だってよ!この攻略本意味わかんねーことばっか書いてあるんだぞ!」
家に帰れば、リビングで霊美とルフィがドラクエ攻略に明け暮れていた。
攻略本片手に攻略できねぇってどういうことだよ。
俺はこいつらにそれを聞きたい。
「キシシシ。お帰りエース君」
「お帰りエース!!あのよ、ここの漢字読めねーんだ!教えてくれよぅ!」
「あのな、ルフィ。これ小学校で習う漢字だぞ?」
俺がため息をつきながら漢字の説明をしてれば、霊美が画面から視線を外さずに呟いた。
「エース君。夕霧に会ったね?」
夕霧と言う名にどきりと心臓がはねあがった。
何故それを、こいつが知ってるんだ?
答えに困る俺に、霊美は続ける。
「キシシシ。夕霧はお喋りな奴だからね。言わなくていいことまで言ってしまう。彼女から何か聞いたかい?」
「・・・いや。別に」
俺はそれだけ答えて、足早にその場を去った。
何故かドクドクとうるさい心臓。
それは恐怖からきているのかもしれない。
得体の知れねぇ恐怖が支配するなか、俺は部屋に戻るとベッドへダイブした。
ふっと首にかけられたあの、呪われた首飾りに触れてみる。
あの天パーは
一体何者なんだろうか。
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