瑠璃を無事送り届け
帰ればじじいの説教が待っていた。

「ルフィ!!エース!!そこへなおれぃいい!!」

夜11時をまわっているだろうか?
そんなのお構いなしにじじぃの怒鳴りは続く。

「今日はこのくらいで勘弁してやろう!!」

じじぃはふんっと鼻を鳴らすと、リビングから出ていった。


「はぁあ。耳がキンキンするー」

「あぁ。じじぃの怒鳴りはもはや兵器だな」

俺たちはキンキンする耳をトントンした。
そんな中霊美は、涼しい顔してアイス食ってやがる。

「霊美ーー!俺にもアイスくれーー」

ルフィがそう言って霊美の隣へ座った。
俺はさっきから気になってる事がある。

ソファーに座る二人。
右からルフィ、霊美。
もちろん霊美の隣は空席なんだが、なんとなく違和感バリバリだ。
俺は冷蔵庫からコーラを取りだし一口。
そして目を凝らしてそこを見つめる。

「ブッッッッ!!!」

俺は口を抑えた。
なんかコーラ全部出たわ。

何故なら天パーの隣に青白い女の後ろ姿。
まさかとは思ったが
やっぱり・・先程の仏間の・・・あの女だ。
それはギギギギと、あの仏間の時のように首を動かす。

俺は女と目が合う前に二階へかけ上がった。



「っは。はっ。」

俺は扉を背に息を整えた。
何でだ!?
何であの仏間女が・・・!!
まさか霊美のやつ取り憑かれてやがるのか!?

いや。 あいつに限ってそんなこたぁねぇはずだ。
じゃあ何故?


まさか、あの腐れ天パーが連れてきた?


そんな思考を巡らす俺は、いきなり開いた扉に吹っ飛ばされた。

ドア蹴破ったのはもちろん天パー。
ろそろとドアが壊れちまう。と真面目に思った。

「おや。何故スッ転んでいるんだい?エース君。」

「うるせぇ!!てめぇのせいだ!!・・・・っ!!」

霊美の後ろにぴったりくっつくあの女に、俺は息を飲んだ。
長い髪に隠れた顔が、いかにもな幽霊。

「君に紹介しておこうと思ってね。こちらさっきの仏間にいた紫乃さんだ」

紫乃と呼ばれた女は、ギギっと顔を上げる。
そこで俺はドキリと胸が鳴ったんだ。

切れ長の綺麗な瞳。
すらっとした鼻筋に
ほっそりした輪郭。
薄い唇がふわりと綻んだ。

『・・・紫乃です』

やべぇ。めちゃくちゃ美人だ。
こんな綺麗な幽霊初めて見たってくらい
美人だ。
って!!俺は幽霊相手になに言ってやがる!!

「キシシシシ。だから言ったろう?君好みだからって」

君好み・・・。
あのときこいつが言ったのは、そういう意味だったのかよ。
悪いが俺はどんな美人でも幽霊はごめんだ。

「この家で見えるのは君だけだからね。まぁよろしく頼むよ」

俺だって好きで見えてるわけじゃねぇんだ!!
てめぇが押し付けた、この呪われた首飾りのせいで・・・

って
ん?
よろしく頼む?
何をだ?


「おい。よろしく頼むよって何をだよ?」

「ん?紫乃さんをしばらくわたしの側に置くことにしたんだよ。君も見える人間だから暇があったら構ってやってくれって事さ」


ふざけんな!!!


「ふざけんな!!!」

おおっと、心の声がそのまま出ちまった。

俺がそう言えば、紫乃は悲しそうに眉を寄せる。

『ごめんなさい。薄気味悪いですよね・・・』

「え?いや、その」

「エース君。君ってやつはなんて酷い男なんだ」

俺が悪いのか?
ん?
俺が悪いのか?

なんか申し訳なくなって
俺はすみません。と謝っていた。



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