その部屋は、荒れ果てた廃墟の中で
異様な雰囲気を醸し出していた。

何故なら他の部屋に比べ、この仏間はとても綺麗なのだ。
小綺麗な仏壇に、壁に一枚だけ掛けられた遺影らしきもの。
それは若い女の写真だ。
そして部屋の真ん中にポツリと置かれている

古びた椅子。

「えー。問題の仏間です!果たして幽霊は出るのでしょうか!!?」

シャンクスはそう言いながらビデオを回す。

「サボ!写真撮れ!」

「おうよ!!」

サボはケータイを取りだし、写真を撮ろうとするが

「あ、あれぇ!?なんでだ!?」

何故かシャッターが降りない。
それどころか、電源まで落ちてしまったようだ。

「まじかよ!さっきまで撮れてたのに!!!」

「よし!じゃあ俺のデジカメで・・・」

サッチも同じように写真を撮ろうとするが、案の定同じ結果だ。

「まじかよ!ありえねぇ!!」

「なぁ霊美!なんかいるか!?」

サボが霊美に振る。
そうすれば奴はケタケタ笑いながら、仏間に飾られた遺影を指さした。

「なにかいるか?と聞かれたら・・・いるよ?あの遺影のお姉さんがね」

「まじかよ!どこどこ!?」

俺はさっきから気になっていた。
あの部屋の真ん中に不自然に置いてある

古い椅子。

そればかり見つめていれば、そこへ腰かけるようなモヤが現れた。
それは徐々にあの遺影の女の姿になる。

「うぉおお???!」

そこでビデオを回していたシャンクスが雄叫びをあげたんだ。

「どうしたシャンクス!!・・・うっひょおおお!!すげぇええ!!」

シャンクスが録画をするビデオの画面を見て、ルフィが目を輝かせる。

それを合図に皆がビデオに群がった。

「い、椅子に何かすわってる・・・」

「ほ、ほんとだ・・」

「や、やべぇよい・・・早くここから出ようよい!!」

椅子の影はハッキリと女の姿へ
そしてギギギギという音と共に
首がコチラを振り向く。

『だれ?』

「うわぁああああ!!!!」

シャンクスがビデオカメラをぶん投げた。
それを合図に、一斉に仏間から皆が逃げ出したんだ。




「はぁ、はぁ!!」

「やべぇよ。まじでやべぇよ!!」

「ビックリしてビデオカメラ置いてきちまったぁあ!!」

「知らねぇよい!!」

「あー!心臓が飛び出るかと思ったぞ!!」

「・・・あれ?霊美さんは!?」

瑠璃の言葉で皆がハッとした。
霊美がいねぇ。

「キシシシシ。やぁやぁひどいじゃあないか。置いてくなんて・・・」

ばっと振り向けばそこにはニヤニヤした天パーがいた。
俺にとって幽霊より驚くのが
こいつの存在なんだが。

「先生。忘れ物だよ?高価なものなんだろう?」

霊美がそう言ってシャンクスにビデオカメラを手渡す。

「あ、おぅ。さ、サンキューな・・・」

シャンクスは呆気にとられながらも、それを受け取った。


それから俺たちは廃墟を後にして、ファミレスへ。


「いやぁビックリしたなぁ。ダッハハハ!!」

シャンクスは笑いながら水を一口。

「おい!シャンクス!ビデオ再生してみろよ!」

「俺も写真見て見よーっと」

さっきあれだけビビってた奴らは意気揚々と撮影した物の確認を始めた。

「げっ!!全部映ってねぇ!ノイズだけだよ!」

シャンクスが撮影したビデオはノイズだらけ。

「こっちもだ。写真にゃ何も映ってねぇな」

サボとサッチが撮った僅かな写真の中にも
目的のものは映っていなかったようだ。

・・・それが何故だか俺はしってるんだが・・・。


「キシシシシ。だろうねぇ」

霊美が大きな口で特大オムライスを頬張りながら一言。

「んあ?どーいう意味だ?」

その隣のルフィが特大ステーキをかじりながら霊美に視線を移す。

「・・・だってさぁ。君たちが撮ってたのって、君たちから見て前方だろ?」

霊美がケチャップをドボドボ、オムライスにかけながらニヤニヤしている。

「映るわけがないんだよ。だって、君たちが撮りたいと思ってた方々は、ずっと君たちの後方に居たんだからさ。カメラを覗きこんでニヤニヤ笑っていたよ?」

そこでステーキがっつくルフィと、オムライスがっつく霊美意外の全員が固まったのは言うまでもない。




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あとがき
シャンクスはグレートなティーチャー鬼束みたいだったらいいな。

意外に長くなってしまった・・・
心霊スポットって私は行ったことないのですが
ヤバいとこはヤバいそうですね(´・ω・`)
この間妹の話聞いて心霊スポットには絶対行かないと心に決めました。

では、読んでくださりありがとうございました!


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