そのあとサッチ、マルコ、サボと合流した。
マルコは分厚い参考書し持参していて
サッチとサボは相変わらずのバカテンションだ。

「よっしゃあ!!行くぞ野郎共ーー!!」

そこへシャンクスのムカつくテンションがプラスされ
車内は騒音渦巻くバカの巣窟へ姿を変える。


「おーついた!ここだ!」

サッチが指差す先には薄気味悪い昔ながらの日本家屋。
もちろん外装内装共に、遠目から見たってボロボロ。

付近に不自然に設置された街灯が、不気味さをより際立たせている。


「えー。俺たちは今、噂の廃墟にきてまーす!」

シャンクスがおもむろに、ビデオカメラを取り出して回し始める。

「いえいえーい!」

「超テンションあがるなー!」

サッチとサボはテレビに写りたがるガキのごとく、カメラの前でピースしまくっている。

「なぁなぁ。シャンクス。なんでビデオなんかとってんだ?」

ルフィの質問にシャンクスはニヤリと笑った。

「ばか!幽霊を映像に収める為に決まってんだろう?それをメディアに売れば金ががっぽりだ!そのために最新のビデオカメラ買ったんだからな!」

シャンクスは真性のバカだ。

そんなバカシャンクスがマルコにカメラを向ける。

「こちらは、学校一のガリ勉君!マルコでーす。その証拠に、こんなところでも参考書読んでまーす」

「ガリ勉パイナップルって呼んでくださーい!」

「呼んでくださーい」

「おめぇら殴られたいのかよい」

サッチとサボとシャンクスは、とっても気が合うらしい。
きっと脳ミソの構造が似ているからだと俺は思う。

「お次にー!こちらが学校一のモテ男!エース君とその彼女の美少女瑠璃ちゃん!そしてエース君の弟ルフィでーす」

「シャンクス!俺ちゃんと写ってるか!?」

「撮んじゃねぇよ!!」

「キャー怖い!そして、こちらが期待のニューフェイス霊美さーん!」

「よっ!あねご!」

「期待してるぜ!」

「キシシシ。あまり騒がない方がいいと思うけどなぁ?」

俺はその時の霊美の視線を追った。
奴はビデオカメラじゃなく、撮影するシャンクスでもなく
そのシャンクスの背後を見てニヤニヤしているんだ。
何故かは言わないでおこう。
俺はそう思いながら視線を反らした。

「それじゃ、早速中へいってみよー!」

シャンクスを筆頭に、俺たちは廃墟の中へと進む。

「うひゃあ、ボロボロだなぁ」

「げぇ。変な匂いがするぞ?」

中は思ったより荒れていた。
所々床が腐り落ち、多分俺たちと同じように心霊スポット巡りしたやつらが置いてったであろう真新しいゴミ。

その中にもかつては人が生活していたであろう痕跡が見え隠れする。
止まったままの古い時計。
昭和から捲られる事のないカレンダー。
もう着られる事はないであろう薄汚れた衣類。
驚くことに、洗濯機や冷蔵庫
テレビなどの電化製品までそのまま残ってる。
無論、今じゃ見なくなった機種ばかりだが・・・

「おい。サッチ。どこが例の部屋なんだ?」

シャンクスがくるりとサッチを振り返る。

「えーと・・・確か二階の仏間だな!話によれば、そこで犯人が死体をバラしてたって話だぜ!?」

「うひぃー!!マジかよ!おっかねぇ!」

「た、ただの噂だろい?さっさと回って帰ろうよい」

「なぁなぁエース。俺腹へったー」

「お前、こんなところでよくそんなこと言えるよな」

俺は周りにウヨウヨする幽霊を見なかったことにしてため息をついた。
確かにここには、うざいってほどあの世の住人がたむろってやがる。
でも数が異常だ。その犯人とやらはこんなに多く殺っちまったのか?

「エース。私なんか寒いよ。」

瑠璃がポツリとそう言って俺にくっついた。
そんな瑠璃に視線を移せば
彼女にもたれかかるかのように数人の男の霊がくっついていた。

人の女に触ってんじゃねぇぞこら。

って心の中で呟きながらガンを飛ばせば、そいつらは

すんませんでした!!!

って言いながら消える。

ここで言っておくが俺は霊媒師ではない。


「キシシシ。エース君。君は霊媒師にむいているんじゃないか?将来有望だな」

ふざけんな。俺の将来を勝手に黒く染めんじゃねぇ!!

そんなことを抜かす霊美にもついでにガンを飛ばしておく。

「まぁ冗談はこれくらいにして・・・。エース君、君の疑問に答えようか?」

そんな霊美が俺にしか聞こえないくらいの小声でボソリと言った。

「あ?」

「何故この場所にこんなにも霊がいついているのか?気になっているんだろう?」

奴の言葉にビクリと体が反応する。
なんなんだ?こいつは!?
やっぱり読心術も出来るっていうのかよ!


そんな俺の反応をおもしがるかのように、霊美はクツクツ笑う。

「ここはね。霊道になってるんだよ」

「れいどう?は?なんだよそれ」

「霊が通る道。そういう意味さ。ここは昔から太い霊道があったみたいだね。だからこの家も主人を失い廃墟になった・・・。廃墟になった建物は霊の格好の棲みかになりやすい。特にここは湿地帯で比較的湿度が高くジメジメしてるだろ?霊は大好きなんだよね。そういうところ」

霊美はそう言って楽しそうに続けた。

「そんな好条件な廃墟に霊道が通ってれば、みんなここにいついてしまうわけだよ。それに、噂の殺人事件がどうのっていうのは嘘だね。ここで起こる怪現象は全てここにいつく浮遊霊が起こしてるものさ」

「そ、そうなのか?」

「ああ。でも・・・その二階の仏間とやらに、かなり強い地縛霊が住み憑いてるっていうのは本当だよ」

俺はゴクリと唾を飲み込んだ。

「キシシシ。まぁ安心したまえ。きっと君好みだから」

「は?」

俺は霊美の言ってる意味がよくわからず、間抜けな返事を返した。
そうこうしてるうちに、問題の仏間へとたどり着く。



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