「なぁ。」

「ん?」

階段を下りながら、俺は瑠璃に振り返った。

「今日俺ん家来ねぇか?」

「え?いいの?」

「あたりめぇだろ!来いよ・・・」

俺は瑠璃を引き寄せ、顔を近づけると彼女の目を見つめる。

「さっきの続きがしてぇ。俺の部屋でゆっくりな」

「ばか。エースって本当エッチだね」

真っ赤になる瑠璃に軽く口づけ、ニっと笑えばさらに瑠璃は真っ赤になった。


瑠璃と別れ、意気揚々とクラスに戻る。
ガラガラと扉をあければ霊美がニヤニヤして立っていた。

「うぉおおおい!!」

俺はびっくりして、飛び上がる。

「なんだい?エース君?」

「なんだい?じゃねぇよ!!いきなり立ってんじゃねぇ!!」

「キシシシ。別に脅かそうと思ったわけじゃあない。トイレに行こうとしていただけさ。」

霊美はそう言ってスタスタとトイレに向かう。

「あのよ!」

そんな霊美を俺は呼び止めた。

「なんだい?」

「今日、その、しばらく家帰ってくんな!出来ればルフィ連れて街の方でも散歩しててくれよ」

「何故だい?」

「何故って・・。だいたい察しろよ」

「キシシシ。悪いがわたしは家でのんびりしたい派なんだ。それに、人の情事を覗き見する趣味はないんでね。安心してくれたまえよ」

「なっ!!」

霊美はそう言ってスタスタとトイレに入っていった。
ちくしょう。ぜってぇ邪魔すんなよ!!天パー!!

俺は舌打ちをしながらクラスに入っていった。




学校が終わり、瑠璃のクラスに迎えに行けば
彼女は仲良しのナミという子と、笑いながら喋っていた。

「おっ!エース!!」

「よぅルフィ」

ルフィが声を上げれば、瑠璃が弾かれたように俺を見てニコリと笑う。
ナミに別れを告げた彼女が、俺の元へ駆け寄ってきた。

「エース!迎えに来てくれてありがと!」

「おぅ。んじゃ行くか」

「帰って飯食おう!!めしーーー!!!」

俺と瑠璃は手を繋ぎ、その後をルフィがめしーーー!って言いながらついてくる。




「キシシシ。おかえり」

家に帰れば、天パーがあのヨレヨレTシャツに、ヨレヨレハーパンはいて
リビングのソファーでコンビニのおにぎり食ってた。
ちょっと待て。お前、帰んの早すぎだろ?
一体どんなスピードで歩いてきてんだよ。
俺はそう思ったが、メンドーなので言うのを止める。

机いっぱいにあるコンビニのおにぎりを一つ手に取って、包みをあけて
それを一口でモシャモシャと食う霊美が、なんかの妖怪に見えるのは目の錯覚だろうか?

「おおおお!!うまそー!霊美俺にもくれー!」

「もちろんさ」

ルフィは、鞄を放り投げおにぎりに飛び付いた。

「おや?瑠璃君じゃないか。よかったら君も食べるかい?」

俺の隣で唖然とする瑠璃に、霊美が一つおにぎりを差し出している。

「あは、はは。今お腹一杯なので・・・」

「そうかい。じゃあエース君食べるかい?」

「いらねぇよ!!!」

俺はため息をついて、瑠璃にリビングで待つように言うと
自分の部屋へ・・・。
あのケースを燃やさなきゃなんねぇのを、すっかり忘れてた。

俺は机の上に置いたはずのケースを探すが

無い。

どういうことだ?
まさか・・・

俺はドタドタとリビングへ降りると、おにぎりをモシャモシャ食う霊美を引きずって
リビングを出る。

「どうしたんだい?」

「てめぇ。あのケースどうした?」

「ああ。あれかい?まぁ、ついてきたまえよ」

霊美はそう言って玄関を開け、庭に出る。
俺は眉を寄せながら、そのあとを追った。

庭に出ると、霊美はスッとある場所を指差す。
そこにはプスプスと音をあげる炭みてぇになった

例のブツ。


「今日は君が忙しいと思ってね。わたしが丁重に葬っておいたよ。感謝したまえ」

霊美は誇らしげにそう言って、スタスタと戻っていった。

なんかスッキリしたのか、しないのか・・・
複雑な心境だ。
多分その原因は、一応楽しかった俺の思い出を
謎の天パーに燃やされた事にあると思う。



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