はぁ。
私の名前は、間城瑠璃。
今年この高校に入ったばかりの一年生だ。
自分でも嫌になるぐらい心配性な私は、教室に着くなりため息をついたのだった。
「どうしたのよー?朝からシケた面しちゃって!」
友達のナミが満面の笑みでやってきた。
「んー。ちょっとね」
「ははぁん?その顔はエース先輩のことでしょ?」
ナミに指摘されて、あたしは顔を真っ赤にさせたんだ。
ナミは人の表情をよく読む子。
「あんたわかりやすいわねぇ!何?心配事なら聞くわよ?」
「んー。」
エースと付き合ってからまだ半年にも満たない。
新入生歓迎会の時、目があって一目惚れだったんだ。
すっごくかっこいい先輩がいるんだなぁって。
でも三年生だし、クラスも離れてるし
何よりかっこよすぎて私なんか無理だって思ってたら
エースの方から色々接してくれたの。
すごく嬉しくて、告白されたときなんか死んじゃうかと思った。
でもその反面。
エースの昔の噂をよく聞く。
私と付き合う前はかなりのプレイボーイだったって・・・。
確かに彼はよくモテて、バレンタインデーなんて毎年大変だって聞いたし・・・。
彼の弟であるルフィとは仲良しだから、よくエースの事を聞くんだけど
私と付き合いはじめてからは、私一筋だって言ってた。
それを信じて、私はエースに見合うよう頑張ってたけど・・・
「ナミ。あのね・・・実は」
「ん?」
私はナミに昨日の事を話した。
「女の笑い声ぇ?」
「うん。電話越しに聞こえたの」
「テレビの音とかじゃなくて?」
「違うと思う。だって間近で笑ってるって感じだったし」
「それって、エース先輩の部屋に別の女がいたってこと?」
「わかんない。でも確かに聞こえたの。」
「ふぅん。ルフィに聞いてみた?」
「ううん。聞けないよ」
私がそういえば、ナミははぁっとため息をついた。
「聞いちゃいなさいよ!大丈夫だって!!」
ナミはそう言って、あたしの腕を掴むとルフィへ向かって歩き出す。
「ちょっとルフィ!」
「んぁ?なんだ?」
ルフィは間抜けな声をあげて振り替える。
「昨日の夜エース先輩の部屋に誰か来てたの?」
「は?いんや。誰も来てねぇと思うぞ?エースのやつ具合悪いって言って飯も食わずにそのまま風呂入っちまったし」
「ふーん。瑠璃が電話してて、女の笑い声聞こえたって言ってたんだけど・・・」
「あ!霊美じゃねぇか?アイツとテレビ見てたんだけど、ちょっとエースんところ行くっていって二階上がっていったぞ」
霊美。あ。朝会ったエースとクラス一緒の先輩だ。
そうだ。エースとルフィのおじいちゃんの知り合いの子だって言ってたっけ・・・。
一緒に住んでるっていってたけど・・・
あたしがシュンと俯けば、ナミは顔を鬼にしてルフィに詰め寄った。
「誰よ霊美って!!?」
「じ、じぃちゃんの知り合いの子供で、一緒に住むことになったんだ・・・。別にエースと何かあるわけじゃねぇよ」
ルフィは眉を下げてナミを見つめてる。
「だってよ。瑠璃」
「あ、うん。ごめんルフィありがと」
「心配はいらねぇぞ?エースお前の事大好きだって言ってたし!」
「う、うん」
ルフィがニッと笑えば、少し安心する。
それにしても、自分が嫌になるなぁ
エースの事信じらんないなんてさ・・・。
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