「おっ!おはようエース!!」
「おぅ」
「霊美もいるじゃんか!なんだよー二人仲良くご出勤かぁ?」
「んなんじゃねぇよ!!」
教室に入れば、いつも通りサッチとサボがばか騒ぎ。
今日は昨日来てなかったフランキーもプラスされてる。
フランキーは、何故かいつも下が制服のズボンじゃなくて海パンなんだ。
何故そうなのか聞いたことはない。
聞きたくもない。
よく職質されねぇなと感心する。
「スーパーおはようだぜ!!エース!!」
「おぅ。フランキーなんで昨日来なかったんだよ」
「コーラ飲み過ぎて、腹壊しちまってよー!」
まぁ、サッチ、サボ、フランキー。
一言でまとめるなら"馬鹿"だ。
「ん?エース!そのとなりのスーパー不気味ちゃんは誰だぁ!?」
言いたいことを平気で言えるフランキーに、俺は軽く感動した。
「不気味ちゃんか。悪くない響きだよ。昨日転校してきた月野辺霊美だ。まぁよろしく頼むよ」
「おぅ!俺はコーラ大好きフランキーだ!よろしくな不気味ちゃん!スーパー!!」
「キシシシシ。エース君。この海パン君は実に愉快だな」
俺からしたら、フランキーは痛快。
霊美・・・お前は不快だ。
「エース!聞いてくれよー!昨日よ、カラオケ行ったんだけどよー!!サボが知り合った女子が、友達数人連れてきてその中の一人がマルコに恋しちまってよ!!」
「その子すっげぇ積極的で、二人で抜けよう?ってなってんのに・・・マルコなんて言ったと思う??塾があるから失礼するよい。っだってよー!!」
「それ以上笑うと危険だと思うぜ?」
俺は、爆笑するサッチとサボの後ろを指差しながら言った。
何故なら、マルコが鬼の形相で分厚い辞書を振り上げているからだ。
「それ以上笑うと・・・俺の辞書が火をふくよい」
「ママママルコ!!!冗談だよ!あっはは!そんな冗談みてぇな髪型してんのに、通じねぇのか!?」
「馬鹿サッチ!!煽るんじゃねぇ!!落ち着け!!マル・・・ぎゃあああ!!!」
マルコの辞書により、サッチとサボはデカイたんこぶを作って泣いている。
そんな馬鹿を尻目に、俺は席へと着いた。
霊美はクツクツとそれを見て、笑い声をあげている。
一限目はシャンクスによるだるい数学。
見た目によらず、アイツの専門分野は数学なんだ。
「えー。今日はちょいと難しい公式やるぞー。まぁ、そんなん覚えなくても、生きていけるが、大人の事情でお前らには覚えてもらいますよーっと」
シャンクスは気の抜けた声でそう言って、かつかつ黒板に書き始める。
俺はというと、さっきから窓とにらめっこだ。
何故なら窓にびっしり
変な方々が張り付いてこちらを見てるからだ。
「キシシシシ。エース君そんな警戒しなくてもいいよ?君がその首飾りをつけてる限り、奴らは中へ侵入することは出来ないはずだからね」
俺はそう言う霊美に視線を移し、目を見開いた。
そして、
「うっぎゃあああ!!!」
椅子からずっこけたんだ。
何でかって?
霊美の肩の所にでっけぇ首だけの骸骨がいるんだ。
しかも、骸骨の癖に眼球があって
ギョロギョロ辺りを見回してやがる。
「こら。ガラシャ。姿を見せちゃだめだろう?エース君がびっくりして失禁したらどうするつもりだい?」
霊美はさりげなく俺を小バカにしながら、ニヤニヤ笑っていた。
勿論俺以外の誰にもその骸骨の姿は見えてない。
シャンクスも、サッチもサボも、その他クラスの注目の的は俺だ。
「ダッハハハ!!エースどうした!?化け物でも見たような顔して!!なんかいるのか!?」
シャンクス。大当たりだぜ。
「な、なんでもねぇ」
俺はシャンクスにそう言って椅子に座る。
「エース。いいか?よく覚えとけ?真の化け物ってのは、金に群がるこの世の人間だ!!俺はその化け物のせいですっからかんだぞ!!ダッハハハ!!」
シャンクスは授業をやめて、昨晩ボッタクリバーで全財産ぼったくられた話を自慢げに話始めやがった。
んなこたぁどうでもいい!
俺は霊美を小声で問い詰める。
「なんだよ!その気持ち悪ぃ骸骨!!」
「気持ち悪いとは心外だな。こいつはガラシャ。・・・いわば守護霊だ」
「守護霊!??どっちかって言うと悪霊だろ!!」
俺がそういえば、骸骨が俺の目の前でガタガタ顎をならし始めた。
「こらこら。エース君。あまりガラシャを怒らせないでくれ。その首飾りにだってガラシャの力が宿っているんだぞ?守ってもらえることに感謝したまえよ」
なるほど。俺の首飾りはどうやらこの骸骨に呪われているらしい。
霊美は骸骨になにか呟くと、それはスゥッと消えていった。
「ガラシャはどうしても君に挨拶したかったみたいなんだ。驚かせてすまなかったね。キシシシシ」
一欠片も、すまないと思ってねぇだろ?
ってくらいニヤニヤした霊美が肩を揺らして笑った。
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