その写真に写っていたのは、笑顔の俺と、さっき俺の背後に立っていたあの女。
そうだ。思い出した。
中学の時、年上と付き合っていた俺。
さっき俺の背後に立っていたのはその年上の女だったんだ。

「これ・・・」

「気づいたかい?君がこの女から貰ったものをまだ持ってるせいでこの女の生き霊がますます強まってるんだ。他の物もそう。生き霊っていうのはその人間だけの念だけじゃあここまで強くはならない。」

霊美はそう言って写真を俺に手渡した。
俺はそれを受け取って呆然と立ち尽くす。

「全て燃やすことをオススメするよ。」

霊美はポケットからコンビニのおにぎりを取り出して包みを開ける。
そして大きな口で一かじり。
こいつのポケットはお札が出てきたり、おにぎりが出てきたり・・・

四次元ポケットかなにかなのか?

「そうだ。エース君。憑かれやすい君にいいものをあげよう」

霊美が次にポケットから取り出したのは、真っ赤な珠が連なる数珠みてぇなの。

「これはわたしが何年も祷りを込めて一つずつ連ねた首飾りだよ。こいつを身につけておけば、めったに憑かれる事はない」

「おぅ。そうか。いらねぇよ」

「キシシシシ。そうかい。なら無理にとは言わないよ。今日みたいな事が起こる度に我慢するがいい。まぁせいぜい取り殺されないよう気を付けたまえ」

「うぉおい!!ちょっとまて!!」

俺は薄ら笑いを浮かべながら部屋を去ろうとする霊美の肩を掴んだ。

「なんだい?」

ニタニタと怪しい笑みを浮かべながら、霊美が俺を振り返る。

「とととと取り殺されるってなんだよ!!」

「そのままの意味さ。今日は体調不良だけですんだみたいだけど・・・次強いのに憑かれたら、君が彼女とデートするたび嫉妬され・・・取り殺される可能性だってあり得なくは無い。」

「・・・・」

「キシシシシ。まぁ頑張りたまえよ」

「それ貰う!!くれ!!」

俺は霊美からその数珠みてぇなのを受け取った。

「キシシシシ。それはかなり強めの力があるからねぇ。まぁ副作用的なものがあるかもしれないが、それはしょうがない。よく効く薬には副作用があるものだろう?」

霊美はそう言いながらスゥッと消えていくように去っていく。
本当に不気味な奴だ。
俺は手元に残った首飾りと、散らばった思い出を交互に見つめる。

この思い出はケースごと燃やす事にしよう。
それにしてもこの赤い首飾り。
なんかすげぇって言ってたけど
ただのアクセサリーっぽいし・・・。
さっきは勢いで貰っちまったが
よくよく考えれば馬鹿らしい。

このお守りを身に付けなければあなたは死にます。

とかいう今流行りの悪徳霊感商法じゃねぇか!!

確かになんか見えたのは事実だが、俺は認めねぇ!
はっきり見たわけじゃねぇし!
見えたとしても
絶対!!認めねぇ!!

俺は首飾りを机の上に放り投げ、ベッドの上へ寝転ぶと
そのまま眠ってしまったのだった。



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あとがきタイム

相変わらずなァにこれですね。
すみません。
赤い数珠的なヤツは、エース君が帽子や首につけてあるあれを想像いただければ
幸いです。

では!読んで頂きありがとうございます!


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